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2022 Fiscal Year Research-status Report

A novel platform of functional nanostructure-a unique outer-synthesis of unique membrane vesicles and their application-

Research Project

Project/Area Number 20K05786
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

川本 純  京都大学, 化学研究所, 准教授 (90511238)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywords細胞細胞外膜小胞 / Shewanella
Outline of Annual Research Achievements

回遊性魚類の腸管より採取された低温適応性のグラム陰性細菌 Shewanella vesiculosa HM13 は、近縁の Shewanella 属や大腸菌に比べて細胞外膜小胞 (Extracellular membrane vesicles, EMVs) を高生産する。本菌の EMV は、主要な積荷タンパク質として機能未知タンパク質 P49 を輸送していることから、本菌の P49 選択的な EMV への積荷輸送機構は、細菌の EMVs の表層工学や、異種タンパク質の分泌生産への応用が期待されている。本研究では、P49 が EMVs の分散性を制御する表層タンパク質であることを見いだした。P49 をコードする遺伝子を破壊した P49 欠損株が生産する EMVs をナノ粒子軌跡法で解析したとき、野生株由来の EMVs に比べて凝集した EMVs の形成が顕著に促進されていることがわかった。 P49 欠損株の EMVs に P49 の精製タンパク質を添加した結果、EMVs の凝集体形成は抑制され、約 70 nm の分散した粒子が主要な粒子として検出された。 P49 欠損株由来の EMVs を詳細に解析した結果、本菌の EMVs には、P49 依存的に膜小胞の表層に約 5 nm の微粒子が生じることがわかった。さらに、P49 の欠損は、EMVs のゼータ電位の絶対値を小さくした。以上の結果は、P49 は EMVs の表層と相互作用し、膜小胞表面の電荷を制御することで、EMVs の分散性を維持していることが示された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

細胞外膜小胞を高生産する Shewanella vesiculosa HM13 は、低温での異種タンパク質の分泌生産や EMVs の表層改変による新規のナノ材料開発に資する有用細菌である。本菌が EMV 分泌を介して細胞外に輸送する積荷タンパク質 P49 は、データベース上に類縁タンパク質のない機能未知タンパク質であった。本タンパク質選択的な EMV への輸送機構は、本菌の EMV の応用の分子基盤であることから、P49 の構造や生理機能の理解は必要不可欠である。今期、本研究において P49 が EMVs の表層電荷を制御することで、EMVs の分散性を高める機能を担っていることがあきらかとなった。この結果は、本菌が EMVs を介して他の細菌や宿主との情報伝達や遺伝子の水平伝播を行う際に、積荷となる生体分子を輸送することに関与していると予想される。一方で、本タンパク質には類縁タンパク質が報告されていないことから、その構造を予測することは困難であり、EMVs 表層との相互作用の詳細は不分明な点が多い。以上の点にはおいて、本研究は「概ね順調に進展している。」といえる。今後、本タンパク質の機能発現機構について、より詳細に解析することで、本機構を応用したナノ材料開発を目指す。

Strategy for Future Research Activity

細胞外膜小胞を高生産する Shewanella vesiculosa HM13 の細胞細胞外膜小胞 (EMVs) は、積荷タンパク質 P49 との相互作用から、EMVs の粒子分散性を向上させていることが示唆された。表層タンパク質による EMVs の分散性制御は、これまでに報告例のない新規の生体分子輸送機構であることから、粒子分散性の維持が、EMVs の機能に及ぼす影響については不分明な点が多い。今後は、本タンパク質が EMVs を介した物質輸送における P49 の生理的役割について解析する。本菌は、回遊生魚類の腸管より採取されたことから、同様に魚類腸管に生育する他の細菌との相互作用に、本タンパク質が関与している可能性が高い。そこで、HM13 株同様、回遊性魚類の腸管より採取された菌株ライブラリーへの EMVs の接着性や、これらの細菌群の生育やバイオフィルム形成における HM13 の EMVsおよび P49 の生理機能について解析する。細菌の EMVs は細胞外マトリクスとして細胞間接着を促進することが知られており、細胞間相互作用における EMVs の分散性の生理的意義について明らかにすることを目指す。

Causes of Carryover

本研究において、細胞外膜小胞 (EMVs) 高生産性細菌 Shewanellla vesiculosa HM13 が EMVs の主要な積荷タンパク質として輸送する機能未知タンパク質 P49 は、EMVs の分散性を促進する表層タンパク質であることが明らかとなった。このような粒子の表面特性を制御するタンパク質は他に類例がなく、本結果に基づいて P49 による EMVs 表面特性の物理化学的特徴解析や他の細菌種との相互作用における EMVs の表面特性の意義など新たに解析する必要が生じたため、次年度使用額が生じた。本助成金においては、EMVsのゼータ電位や放射光をもちいた粒子間相互作用や表面物性の解析に要する消耗品の購入費用を計上している。さらに、本菌の EMVs が輸送する P49 以外の積荷タンパク質について、詳細な情報を得るため、EMvs のプロテオーム解析を行うことを計画しており、本解析に要する試薬や器具、MS 解析に要する費用に使用することを計画している。

  • Research Products

    (4 results)

All 2022

All Presentation (4 results)

  • [Presentation] 曲率認識ペプチドを用いたShewanella vesiculosa HM13の膜小胞生産関連遺伝子の網羅的探索と機能推定2022

    • Author(s)
      井上 宙夢、河野 健一、川本 純、小川 拓哉、栗原 達夫
    • Organizer
      日本農芸化学会 2023 年度大会
  • [Presentation] Shewanella vesiculosa HM13 の細胞外膜小胞の積荷タンパク質輸送に関与する表層多糖合成酵素ホモログの解析2022

    • Author(s)
      都築 大空、今井 友也、川本 純、小川 拓哉、栗原 達夫
    • Organizer
      日本農芸化学会 2023 年度大会
  • [Presentation] Shewanella vesiculosa HM13 由来細胞外膜小胞表層タンパク質の生理機能解析2022

    • Author(s)
      釜阪 紘平、川本 純、小川 拓哉、栗原 達夫
    • Organizer
      日本農芸化学会 2023 年度大会
  • [Presentation] 細菌の細胞外膜小胞を認識する曲率認識ペプチドの結合特性の解析2022

    • Author(s)
      阪本 大輝、井上 宙夢、河野 健一、今井 友也、川本 純、小川 拓哉、倉田 淳志、栗原 達夫
    • Organizer
      日本農芸化学会 2023 年度大会

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Published: 2023-12-25  

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