2020 Fiscal Year Research-status Report
Identification of sporulation deficiency-related genes in sake yeast and establishment of yeast breeding method by crossing
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20K05788
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
玉置 尚徳 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (20212045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤尾 健 独立行政法人酒類総合研究所, 研究部門, 部門長 (50416426)
二神 泰基 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (60512027)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 清酒酵母 / 胞子形成能 / 交配育種 |
Outline of Annual Research Achievements |
清酒酵母は胞子形成能ならびに胞子発芽能が極めて低いことから、これまで交配による育種法は確立されていない。研究代表者は、焼酎酵母が清酒酵母と近縁であるにもかかわらず高い胞子形成能ならびに胞子発芽能を有することを見出した。また、ホモタリックな焼酎酵母においても、マイクロマニピュレーターを用いて単離した胞子を隣接させることで確実に交配株が得られる顕微接合法を開発した。本申請研究では、清酒酵母と焼酎酵母における胞子形成・発芽能の違いに着想を得て、両株の交雑株ならびにそのF1株(雑種第1代)について比較ゲノム解析を行うことで清酒酵母における胞子形成不全ならびに胞子発芽不全の原因遺伝子の同定を行う。また、交配によって得られた胞子形成・発芽能を有する株について、清酒醸造試験ならびに焼酎醸造試験を行い、適正株を選出することで交配による育種法の基礎を確立する。1年目においては、酒類総合研究所にて単離された清酒酵母の1倍体株100株について、増殖能ならびに生存率を調べることで、焼酎酵母との交配に用いる株を38株に絞った。また、焼酎酵母においても、胞子より単離した自己二倍体株100株の中から、親株と比較して増殖能、発酵能を比較して交配株を選定した。選定した2倍体焼酎酵母株において、接合型変換に関与するHO遺伝子の一方を破壊した。この株に胞子形成させ、得られた胞子を単離・培養することで単一胞子に由来する株を複数取得した。さらに、コロニーPCRおよび接合実験によりヘテロタリック株(HO遺伝子破壊株)の取得とその接合型の確認を行った。こうして得られた(接合型の明らかになった)焼酎酵母1倍体と選抜した各種清酒酵母1倍体を寒天培地上で接触させることで接合させ交雑2倍体の取得を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標である清酒酵母と焼酎酵母の交配に向けた準備は順調に進行した。具体的には、清酒酵母1倍体について増殖、発酵能などを指標としたスクリーニングを行い交配候補株を選抜した。また、焼酎酵母については、接合型変換に関わるHO遺伝子破壊株を取得し、aとαそれぞれの接合型の1倍体株を取得した。これらを用いた清酒酵母と焼酎酵母の雑種交配にも成功し、様々な雑種二倍体株の取得を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度で得られた清酒酵母と焼酎酵母の雑種二倍体株について胞子形成を行い、マイクロマニピュレーターを用いて胞子を単離し、それぞれの胞子に由来するF1株(雑種第1代)の取得を行うと共に、それぞれの株における胞子形成能の比較を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大による学会の中止またはリモート開催による旅費の不使用、ならびに感染防止のための研究時間制限による一時的な遅れのため。元来の年度計画に沿って本年度中に使用する計画である。
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