2022 Fiscal Year Annual Research Report
シアノバクテリアにおける巨大プラスミド維持機構の解明と大規模ベクター系の開発
Project/Area Number |
20K05793
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
渡辺 智 東京農業大学, 生命科学部, 准教授 (10508237)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シアノバクテリア / DNA複製 / プラスミド / Rep |
Outline of Annual Research Achievements |
シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803は世界で4番目に全ゲノムが決定された生物であり、光合成研究のモデル生物として研究に用いられてきた。Synechocystisは主染色体の他に長さ40 kbp以上の巨大プラスミドを4つ(pSYSM、pSYSX、pSYSA、pSYSG)有しているが、これら巨大プラスミドの維持機構は不明である。一般的にプラスミドのDNA複製の開始はプラスミドにコードされるRepタンパク質により制御される。一方、申請者はSynechocystisにおいて染色体にコードされたRep様タンパク質(CyRepX)を見出し、CyRepX欠損株のゲノムにおいて巨大プラスミドの一つpSYSXと染色体の融合を検出した。本申請研究ではシアノバクテリアの巨大プラスミドの維持機構の解明と、これを利用した大規模ベクターシステムの構築を目指して研究を進めている。 これまでの実績として、ナノポアシーケンサーを用いてSynechocystis野生株のゲノムをリシーケンスしゲノム配列情報を整備した。またドイツの研究グループとの国際共同研究より、巨大プラスミドの一つpSYSAのRep(CyRepA1)を新たに同定し、CyRepA1を欠損するとpSYSAと染色体の融合が起こることを報告した。さらにCyRepA1のホモログとしてCyRepA2をSynecyocystis 6803ゲノム中から見出した。CyRepAが幅広いシアノバクテリア種に保存されている点に着目し、CyRepAを用いた広宿主域ベクターpYSを新規に構築した。昨年度に見出した自律複製領域についても、研究を進めておりpSYSXのRep候補遺伝子を絞り込むことに成功した。
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