2021 Fiscal Year Research-status Report
異種遺伝子を発現させたロドコッカス細胞を反応場とする物質変換系の開発
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20K05805
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
吉田 豊和 岐阜大学, 工学部, 教授 (90220657)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Rhodococcus / 微生物変換 / イミン還元 / 立体選択的合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、以下の(1)から(3)について研究を進めた。(1) Streptomyces属由来イミン還元酵素遺伝子を発現させたRhodococcus erythropolis L88組換え体を用いたNADPH再生系酵素の特性解明、(2)Arthrobacter属由来Boc脱離酵素と新規ハイドロラーゼのL88株における異種発現、(3)マロン酸ジエステルの立体選択的エステラーゼのL88株による異種発現とその利用。 (1)NADPH再生系としてグルコース脱水素酵素(GDH)遺伝子の導入は不要で、グルコース添加のみで還元反応が進行する。そこで、L88株全ゲノム配列からGDH遺伝子ホモログを探索し、その酵素活性を評価した。一次構造から推定したGDH遺伝子を発現させ酵素活性を測定した結果、NADH要求性のグルコース-6-リン酸脱水酵素活性であり、その他のGDHホモログは見出されなかった。休止菌体を用いたイミン還元反応ではNADPHの添加も必要でなく、グルコース以外の糖類の添加でもイミンの還元が促進された。 (2)Arthrobacter属由来のBoc脱保護酵素遺伝子は、大腸菌宿主では全て封入体となったが、LBB株においては良好な異種発現が認められた。そこで、有用性の高いArthrobacter属由来の新規ハイドロラーゼについても異種発現を検討し、2-メチルピペリジンの立体選択的合成に活用した。 (3)すでに見いだしているRhodococcus属由来の立体選択的エステラーゼは、野生株細胞内含量が極めて微量で、反応特性解明が十分に行えていなかった。そこで、L88宿主で遺伝子発現を行い、宿主の有機溶媒耐性を活用し、種々の二置換マロン酸ジエステルの不斉加水分解に活用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イミン還元酵素ついては、大腸菌宿主を用いた場合よりもイミン還元反応が顕著に促進され、酵素活性が安定化されている。これはRhodococcus erythropolis L88宿主の細胞が強固であることに起因すると考えられ、当初の狙い通りの成果である。 Arthrobacter属由来の酵素遺伝子については、大腸菌宿主での遺伝子発現条件の検討によっても解決できなかったが。L88宿主では特に問題なく異種発現が可能であった。Rhodococcus属由来の立体選択的エステラーゼは、L88と同属由来の酵素であり遺伝子発現に問題ないが、予想よりも高活性の組換え体を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)イミン還元酵素に関わる捕酵素再生系が未だ明確でないため、外来GDHを付加的に導入し、還元反応との相関を調査する。(2)これまでにRhodococcus erythropolis L88宿主で発現させた遺伝子は、コドンに配慮せず発現を行なってきた。そこで、異種遺伝子のコドンを改変した発現について検討する。Streptomyces属由来のイミン還元酵素が良好に異種発現したことを踏まえ、Streptomyces属のコドン使用頻度を参考に改変することを計画している。余裕があれば植物由来遺伝子への適用も検討を加える。
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Causes of Carryover |
今年度は研究が大きく展開したものの、新型コロナが感染拡大した前々年度からの繰越額が多額であったため、若干の次年度使用額が生じた。
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Research Products
(2 results)