2022 Fiscal Year Research-status Report
Molecular breeding of a novel streptomycete host for antibiotic production using genomic information to highly establish lignocellulose as a resource
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20K05810
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
春日 和 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (40315594)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Streptomyces属放線菌 / セルラーゼ / 抗生物質生産 |
Outline of Annual Research Achievements |
セルロース資化性の有用物質生産放線菌宿主Streptomyces thermocarboxydus C42株に,リグノセルロース高度資化放線菌Streptomyces galbus Y2944のセルラーゼ遺伝子を個々で導入することにより,C42宿主のセルロース資化能および物質生産能を向上させる遺伝子を特定することを目的とした。前年度に、C42株に導入するとセルロース分解活性を向上させるY2944由来のセルラーゼ遺伝子(cel5A, cel5C, cel6B, cel9A, cel12A, cel48A)が明らかになっていた。そのため本年度は、C42に抗生物質カスガマイシン(KSM)を異種生産能を与えた組換え株C42/pKSM109を抗生物質生産モデル菌株として用い、上記のセルラーゼ遺伝子を個々に導入して,セルロース分解能およびKSM生産能を調べることにした。 (i) まず,放線菌の染色体組込型ベクターに上記セルラーゼ遺伝子を個々に連結してpCEL3シリーズのセルラーゼ遺伝子組換えプラスミドを構築し、これをC42/pKSM109に導入した。(ii) 得られた組換株を可溶性セルロース基質CMCを主要炭素源として培養し,分泌されたセルラーゼ活性およびKSM生産能の向上を評価し、ここまでは遺伝子の導入効果まで調べることができた。(iii) その後,不溶性セルロース基質アビセルを炭素源とした場合についても遺伝子導入効果を評価しようとしたが,予期しなかったことに,pCEL3シリーズの遺伝子組換株が不安定であることが明らかになったため,実験を中断した。現在,この不安定性の原因究明を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
作成した放線菌染色体組込型のセルラーゼ遺伝子組換プラスミド(pCEL3シリーズ)を、抗生物質生産モデル菌株C42/pKSM109に導入したところ、当初はセルラーゼ活性の発現及び抗生物質生産能の評価ができていたが、徐々に活性発現や物質生産能が低下したため調べたところ、組換え株が不安定であることが後に判明した。そのため、実験を中断せざるを得なくなった。このような不安定さはこれまでになく、予期せぬ事態だった。
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Strategy for Future Research Activity |
以上のような現状であるため、実験系を再考する必要があり、(1)異なる種類のベクターの採用、(2) 組換えDNAの作成方法の変更、をともに視野に入れて実験系を再構築している。また、これまでは得られたクローンの選定は、発現活性や生産物質量の評価に留まっていたが、今後は組換株の安定性まで確認する予定である。 このように研究は遅れてしまったものの、これまでは遺伝子の発現強度を主に宿主ーベクター系を選定してきたが、組換株の安定性と持続性も重視しなくてはならないことがわかったことも一つの経験だと考えて、仕切り直していきたい。
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Causes of Carryover |
R4年度に行った組換えDNAの作製実験では、酵素類や試薬を消費したが、多くは研究室に現有する分で賄うことができたため、物品購入費は結果的に低く抑えられた。また、対面式開催の学会に参加する予定だったが、Covid感染により参加することができなくなり旅費も発生しなかった。以上の理由で今年度の支出は計画よりも極端に少ない状況になった。 今年度は、昨年に失敗した実験系を立て直し、また、R4年度には断念した分泌タンパク質の実験を再開させたいと考えており、そのための経費として有効に活用する予定である。
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