2022 Fiscal Year Research-status Report
Mining of secondary metabolite from "symbiotic fungi" and elucidation of their roles in biological interactions
Project/Area Number |
20K05820
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
本山 高幸 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 専任研究員 (70291094)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 応用微生物 / 菌類 / ゲノム / 抗生物質 / 共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、イネいもち病菌Pyricularia oryzaeを中心とした共生糸状菌を対象に、新しいタイプの二次代謝酵素を活用した化合物発掘及び二次代謝活性化による化合物発掘を行い、二次代謝産物の役割を解明するための基盤研究を行った。 新しいタイプの二次代謝酵素を活用した共生糸状菌からの化合物発掘では、グループAからDのTAS1ホモログが生産する化合物の構造と生合成メカニズムと生物活性に関するデータを論文にまとめた。 二次代謝活性化による共生糸状菌からの化合物発掘と活性化メカニズムの解析では、イネいもち病菌を含む糸状菌において二次代謝を制御する活性を持つ化合物NPD938を用いた解析を行った。昨年度までに、ルシラクタエン生産菌Fusarium sp. RK97-94をNPD938で処理することにより、ルシラクタエン類縁化合物の生産誘導が引き起こされることを見出し、これらの中から、非常に強力な抗マラリア活性(IC50=1.5 nM)を示す新規のルシラクタエン類縁化合物化合物dihydrolucilactaene(DHLC)を単離し、同定していた。本年度は、ルシラクタエンの生合成に関与する酵素の解析を進め、ルシラクタエンの新規の類縁化合物を取得し、抗マラリア活性に関する構造活性相関を明らかにして、論文にまとめた。 共生糸状菌の宿主を用いた二次代謝産物の役割の解析では、イネいもち病菌が生産する二次代謝産物テヌアゾン酸の役割の解析を完了した。テヌアゾン酸の生合成遺伝子TAS1の発現は感染後期に誘導され、テヌアゾン酸は感染後期に何らかの機能を持つこと及び、TAS1を常時発現させると、イネのジャスモン酸応答遺伝子等の発現誘導を引き起こし、いもち病菌の感染を阻害することが示唆されることなどについて論文にまとめた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、イネいもち病菌Pyricularia oryzaeを中心とした共生糸状菌を対象に、新しいタイプの二次代謝酵素を活用した化合物発掘及び二次代謝活性化による化合物発掘を行い、二次代謝産物の役割を解明することを目的とした。グループAからDのTAS1ホモログが生産する化合物の構造と生合成メカニズムと生物活性に関するデータを論文にまとめた。また、テヌアゾン酸の生産を誘導する化合物NPD938で誘導されるルシラクタエンの生合成に関与する酵素の解析を進め、構造活性相関を明らかにした。更に、テヌアゾン酸がイネいもち病菌の感染を抑制するメカニズムに関して解析を進めて論文にまとめた。以上のように、おおむね順調に研究が進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
新しいタイプの二次代謝酵素を活用した共生糸状菌からの化合物発掘及び、二次代謝活性化による共生糸状菌からの化合物発掘と活性化メカニズムの解析に関しては予定した全ての研究が完了したため、これ以上の解析は行わない。共生糸状菌の宿主を用いた二次代謝産物の役割の解析では、イネいもち病菌のゲノム中に存在する二次代謝遺伝子クラスターのイネとの相互作用における役割を解析する。
|
Causes of Carryover |
理由 次年度使用額が107万円生じた。共生糸状菌の宿主を用いた二次代謝産物の役割の解析において、イネいもち病菌のゲノム中に存在する推定生合成遺伝子クラスターのイネとの相互作用における役割を解析する予定であったが、化合物の大量生産や精製が非常に難しく、研究を研究計画通り遂行することが困難であった。そのため、化合物精製や構造決定および生理作用解析等に関する研究費が減少し未使用額が生じた。 使用計画 次年度は、計画変更に伴い、共生糸状菌の宿主を用いた二次代謝産物の役割の解析及びそれに関する学会及び論文での発表を行うこととし、次年度使用額107万円はその経費に充てることとしたい。87万円で物品購入を行い、研究を遂行する。旅費の10万円で研究成果の発表を行う。その他の10万円で英文校閲等を行う。
|
Research Products
(4 results)