2020 Fiscal Year Research-status Report
担子菌の子実体誘導条件応答機構の解析とキノコ生産への効果的応用
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20K05828
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
渡邉 彰 香川大学, 農学部, 教授 (90325324)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 担子菌 / ラッカーゼ / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、担子菌エノキタケを用いて、その子実体形成誘導条件に応答するラッカーを切り口に、分子レベルでの網羅的解析と組み合わせ、本菌の子実体形成誘導条件応答機構について理解し、得られた成果の高効率キノコ栽培への活用を目的としている。初年度(令和2年度)は、主に以下の2つの面から解析を行った。 (1)エノキタケが生産する複数のラッカーゼアイソザイムの内、子実体形成誘導条件に応答するアイソザイムに着目し、その各種解析に先立ち、同アイソザイムの効率的な調製系の構築を試みた。具体的には、同じ真菌類で実績のあるカビの系を対象に、染色体挿入型の発現ベクターを用いることにより、より多くの目的ラッカーゼアイソザイムを調製できる株の取得を試みた。その結果、目的のアイソザイムを調製するための株を取得することができた。また、通常のエノキタケの子実体形成条件では検出されないアイソザイムについても取得し、各種解析を行い、エノキタケゲノム中における同アイソザイムの特定も行った。 (2)エノキタケの子実体形成に必須な誘導条件の付与前後での菌体を対象に、その誘導に応答する遺伝子の網羅的発現について調べるため、それぞれの条件よりtotal RNAを調製し、RNA-Seq解析に供した。なお、RNA-Seq解析については、年度を跨ぐ形で進行しており、令和2年度中に解析結果を得るには至っていない。 以上より、令和2年度は、RNA-Seq解析は進行中であるものの、次年度以降の研究推進に向けた基盤を整えることができたと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述の研究実績の概要でも述べたように、エノキタケの子実体形成誘導条件付与前後でのRNA-Seq解析については進行中であり、発現量に差のある遺伝子情報を得るに至っておらず、引き続いて実施する見出された各種遺伝子の機能解析をする段階に進展していないため。
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Strategy for Future Research Activity |
子実体形成誘導条件に応答するラッカーゼアイソザイムの生化学的特徴とともに、本アイソザイムがエノキタケの子実体形成課程に与える影響について解析を進める。また、子実体形成誘導条件付与前後でのRNA-Seq解析の面からの取り組みに関しては、RNA-Seq解析から得られた発現遺伝子の情報をもとに候補遺伝子の抽出を行い、続いて抽出された各遺伝子の機能解析を進める。さらに、令和3年度からは、得られた成果の高効率キノコ栽培への活用についても検討を開始していく予定である。
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Causes of Carryover |
主な理由としては、次年度、RNA-Seq解析から見出された各種遺伝子の機能解析に必要な関連物品を購入するため(特に遺伝子工学実験関連実験に使用する物品)。また、今後の使用計画としては、前述の関連物品の購入費用として、次年度の予算とともに使用する予定である。
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