2023 Fiscal Year Annual Research Report
オートファジー抑制因子Rubiconとその阻害剤の機能発現機構の解明
Project/Area Number |
20K05839
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上西 達也 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10391921)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | オートファジー / Rubicon / 小分子化合物 / 立体構造解析 / 薬剤開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度から開始した共同研究で大きな進展があった。まず化合物アレイを用いたスクリーニングを行い、精製Rubiconと直接に結合することが示唆される複数の候補を得ることができた。次に現所属研究室で開発されたアッセイ系を用いて、その中からヒト培養細胞のオートファジー活性を上昇させる少数の化合物を絞り込んだ。さらに、高度に精製したRubiconのC末端ドメインと候補小分子の共結晶化を試みたところ、そのうちの1つとの複合体の結晶構造を得ることに成功した。Rubiconのアミノ酸残基では説明できない特徴的な電子密度がポケットに観測されており、これだけでは化合物の構造式全体を説明できないものの、その一部の官能基がはまり込んでいる可能性が高い。現在はこの結合が薬理学的に意味のあるものかどうかを検証するために、当該のポケットを形成するRubiconのアミノ酸残基に変異を導入した細胞を用い、化合物の存在下におけるオートファジー活性の測定を試みている。すなわち、野生型の細胞で見られた活性の上昇が緩和・解消されていれば、この化合物は結晶構造で観察された様式でRubiconに結合し、そのオートファジー抑制機能を阻害するものと考えられる。また今後は、Rubicon全長についても他の候補小分子との複合体を同様に形成させ、クライオ電子顕微鏡を用いて立体構造解析を進め、化合物の結合部位とその作用機序、またRubiconそのもののオートファジー抑制機能の作用機序を解明する予定である。
|