2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K05840
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
肥塚 崇男 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (30565106)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真野 純一 山口大学, 大学研究推進機構, 教授 (50243100)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 香気成分 / 配糖体化 / 輸送担体 / 揮発性ベンゼノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、夜間特異的に花香である揮発性ベンゼノイドを生成するナス科植物ペチュニアに着目し、花香の生合成、配糖体化による蓄積、細胞内での輸送、大気中への放散がどのように起こっているかを解明することを目的としている。今年度はペチュニア花弁から配糖体候補遺伝子の探索を行った。既知の配糖体化酵素をクエリーとして器官別トランスクリプトーム解析により得られたペチュニアデータベースを検索したところ、揮発性ベンゼノイドの生合成遺伝子の発現様式と正の相関を示す配糖体化酵素遺伝子を見出すことに成功した。さらに、得られた配列情報をもとに3つの全長遺伝子を単離することに成功し、これら3つの遺伝子(PhUGT85A96, PhUGT85A97, PhUGT85A98)を大腸菌発現系により組換え酵素として発現させ、ペチュニアの花香成分である様々な化合物に対する配糖体化活性を測定した。これらの酵素反応特性を解析した結果、PhUGT85A96およびPhUGT85A98はペチュニアの主要香気成分である2-phenylethanolやbenzyl alcohol, isoeugenol, eugenolなどに対して高い配糖化活性を示すことが明らかとなった。また、PhUGT85A96の遺伝子発現様式は香気成分配糖体の蓄積が見られる花弁特異的に蓄積していることから生体内での配糖体化に関わることが示唆された。一方で、香気成分をリガンドとしたケミカルプルダウン実験のためのマグネットビーズの調製も行い、香気成分の輸送および放散に関わるタンパク質分子探索に向けた実験も進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ペチュニアの器官別トランスクリプトームデータベースから配糖体化酵素遺伝子(PhUGT85A96, PhUGT85A97, PhUGT85A98)を単離し、組換え酵素を用いた機能解析により、ペチュニア花弁に蓄積する香気成分配糖体を生成することを明らかにした。特に、PhUGT85A96の遺伝子発現様式は香気成分配糖体の蓄積パターンと一致していることから、生体内の配糖体化に大きく寄与していることが考えられた。一方で、香気成分の放散に関わる輸送担体の探索に向けたケミカルプルダウン実験については、香気成分をリガンドとしたマグネットビーズの調製を行っている。以上、当初のタイムスケジュール通り、おおむね研究は順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、ペチュニアで見つかった配糖体化酵素遺伝子が他のナス科植物にも共通して保存されているのか、また、その酵素機能についても解析を行う。さらに、香気成分をリガンドとしたケミカルプルダウンアッセイにより香気成分の輸送に関わるタンパク質分子の探索を行うとともに、異なる開花段階ならびに香気成分の生成量が異なる日周性に着目したトランスクリプトーム解析を行うことで、香気成分の生合成、蓄積、輸送、放散の代謝動態がどのように制御されているのかを網羅的に理解することに注力して今後の研究遂行にあたる。
|
Causes of Carryover |
コロナ感染拡大の影響により学会発表などがオンラインになり、想定していたよりも旅費などが抑えられたため、繰越金が発生した。今後は、さらなる成果発表のため論文投稿や学会誌などを通じた社会発信を進めていくことを考えている。
|
Research Products
(2 results)