2022 Fiscal Year Research-status Report
Analysis and production of novel antiglycation substances from Inonotus obliquus
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20K05847
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
櫻井 明彦 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (40283163)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カバノアナタケ / 生理活性物質 / 生物活性物質 / 抗糖化 / 抗酸化 / 寿命延長 / 脂肪蓄積抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
カバノアナタケの天然菌核には様々な生理活性物質が含まれているが、天然菌核は存在量が少なく、また人工培養による生理活性物質の生産技術が確立していないため、カバノアナタケは一般には普及していない。本研究ではカバノアナタケ菌糸体の液体表面培養による生理活性物質の生産を検討し、その性質を解析した。 培養菌糸体に含まれる主要な生理活性物質を多段階抽出とイオン交換クロマトグラフィにより単離し、LC/MSとNMRを用いて構造を解析した。その結果、主要な成分の1つがこれまでに抗糖化作用が報告されていない3,4-dihydroxybenzalacetone(DBL)と同定された。DBLの生理活性を詳細に解析したところ、抗酸化活性はDPPHラジカル消去法においてレスベラトロールの約5倍であり、コーヒー酸と同程度の高い値であった。また、SOD法においてはコーヒー酸の1.5倍程度の抗酸化活性を示した。同様に、リボースーBSA系において抗糖化活性を測定したところ、DBLはコーヒー酸の3倍、アミノグアニジンの3.5倍程度の高い値を示した。これらの結果より、DBLは抗酸化作用と抗糖化作用の両方を示すが、特に抗糖化活性が強いことが明らかとなった。次にモデル生物として線虫を用いて生物活性を測定したところ、DBLは糖の投与による蛍光性AGEsの生成を濃度依存的に抑制することが明らかとなった。また、DBLを含むカバノアナタケの抽出物についても蛍光性AGEsの生成抑制がみられた。現在、生物に対する影響を遺伝子レベルで解析しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
カバノアナタケの培養には1ヶ月程度必要だが、コロナ禍により研究室の閉鎖期間があり、実験の継続ができない期間があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
カバノアナタケの生理活性物質の構造や基本的な性質を明らかになったことから、生物に対する影響を遺伝子レベルで解析する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により実験室を使えない期間があり実験数が減少したため、予算が繰り越しとなった。次年度は当初予定していた遺伝子レベルでの解析などを進める予定である。
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Research Products
(3 results)