2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K05852
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
佐藤 正資 香川大学, 農学部, 教授 (20263890)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 希少糖 / 線虫 / 成長阻害 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は,デオキシ希少糖 1-deoxy-D-allulose (1d-Alu) が線虫C. elegansの成長を強く阻害することを報告した。この知見から,1d-Alu は単糖を基本骨格として,糖代謝系に阻害ポイントを持つ抗線虫薬(あるいはリード化合物)となるとの着想を得た。本研究では,1d-Alu の作用メカニズムを明らかにするため,以下の2つの仮説を検証することを目的とした。(1)1d-Aluが線虫体内で6-リン酸化される。(2)1d-Alu 6-リン酸化物が,ペントースリン酸経路酵素のribose phosphate isomerase (RPI)を阻害する。本年度は,当初計画に従って,(1)1d-Aluが線虫体内で6-リン酸化されるかどうかの検証を行った。まず,予想される代謝産物である 1d-Aluの6-リン酸化物(1d-Alu-6P)の合成を試みた。当初,市販ヘキソキナーゼによる1d-Alu の6-リン酸化を検討したが,条件検討の結果,1d-Aluがヘキソキナーゼの基質として適さないことが判明したため,化学合成の手段によってその調製を試みた。具体的には,3つの第二級水酸基の選択的保護と6位第一級水酸基のホスホロアミダイト法によるリン酸化である。現在,最終段階の脱保護を行っているところであり,合成が確認できれば,計画通り,蛍光標識HPLC法による1d-Alu代謝産物の線虫体内濃度の確認,各種の糖代謝酵素阻害実験を行う計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代謝産物分析および酵素阻害試験に用いる化合物の合成は本年度に行う予定であった。しかし,当初の酵素を用いた合成が難しかったため,途中で化学合成法に切り替えた。そのため,若干の計画の遅れが生じたが全体的には3年の計画において,順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在,目的物質合成の最終段階の脱保護を行っているところであり,合成が確認できれば,計画通り,蛍光標識HPLC法による1d-Alu代謝産物の線虫体内濃度の確認,各種の糖代謝酵素阻害実験を行う計画である。
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Causes of Carryover |
本年度,予想される代謝産物である 1d-Aluの6-リン酸化物(1d-Alu-6P)の合成を試みた。当初,市販ヘキソキナーゼによる1d-Alu の6-リン酸化を検討したが,条件検討の結果,1d-Aluがヘキソキナーゼの基質として適さないことが判明したため,化学合成の手段に変更した。そのため,高額な生化学試薬である酵素の購入をせず,上記のような予算執行になった。未執行分の予算は,今後,HPLC分析や酵素阻害実験には,比較的高額な試薬,器具類が必要なため,そちらに充当する予定である。
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