2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K05852
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
佐藤 正資 香川大学, 農学部, 教授 (20263890)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 希少糖 / 抗線虫薬 / Caenorhabditis elegans / デオキシ糖 / 成長阻害 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は,デオキシ希少糖 1-deoxy-D-allulose (1d-Alu) が線虫Caenorhabditis elegansの成長を強く阻害することを報告した。この知見から,1d-Alu は単糖を基本骨格として,糖代謝系に阻害ポイントを持つ抗線虫薬(あるいはリード化合物)となるとの着想を得た。本研究では,1d-Alu の作用メカニズムを明らかにするため,1d-Aluが線虫体内へ取り込まれるのか,また,線虫体内で代謝されるのかどうかを検証した。 まず,検証に必要な1d-Aluおよび 1d-Alu-6P の合成を試みた。1d-Aluの合成は,市販のD-ribonolactoneを出発原料とし,(1)2,3位ジオールのアセトナイド化による保護,(2)5位ヒドロキシル基のTBDMS化による保護,(3)MeLiによるribonolactoneカルボニル基へのメチル基の求核付加,(4)TBAFによる脱TBDMS基保護,(5)陽イオン交換樹脂による温和な条件でのアセトナイド基保護の5工程で行なった。この合成法により総収率29%で1d-Aluを合成することができた。次に1d-Alu-6Pを合成するため,ヘキソキナーゼによる1d-Alu の6-リン酸化を検討したが,条件検討の結果,1d-Aluがヘキソキナーゼの基質として適さないことが判明した。 合成した1d-Aluを線虫に処理し,その線虫を抽出した。得られた抽出物を,糖類の選択的標識法であるABEE化をし,蛍光検出HPLC分析を行った。その結果,1d-Alu は線虫体内に取り込まれており,6-リン酸化物と推定されるピークも検出された。以上から,1d-Aluの線虫成長阻害活性は,1d-Aluの代謝産物である1d-Alu-6Pによる糖代謝阻害によって起きると考えられた。
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