2020 Fiscal Year Research-status Report
植物の新規ニトロ基合成酵素の分布と基質認識に関与する構造の解明
Project/Area Number |
20K05861
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山口 拓也 筑波大学, 生命環境系, 助教 (00748527)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シトクロムP450 / CYP94A / ニトロ基合成酵素 / 脂肪酸水酸化酵素 / ビワ |
Outline of Annual Research Achievements |
植物が生合成する二次代謝産物 (植物特化代謝物) は莫大な構造多様性を有している化合物群である。ニトロ基は医農薬品に頻繁に含まれる官能基であるが、ニトロ基を含む天然物は非常に少なく、植物のニトロ基合成酵素は未解明であった。ビワの花から見出した新規シトクロムP450 (CYP94A90) はフェニルアセトアルドキシムを(2-ニトロエチル)ベンゼンに変換する新規ニトロ基合成酵素である。だが、CYP94Aファミリーは脂肪酸ω水酸化酵素として知られており、双子葉植物に広く保存されている。そこで本研究では、CYP94A90とビワ以外の植物由来CYP94Aの脂肪酸ω水酸化活性とニトロ基合成活性を検出し、さらにCYP94A90の基質認識に関与する構造を解明することを目的とした。本年度は系統的に異なる植物からCYP94Aをクローニング、出芽酵母で発現し、ニトロ基合成活性を有しているか検討した。 ビワ (バラ科) に加え、ウメ (バラ科)、タバコ (ナス科)、ヤハズエンドウ (マメ科) からCYP94Aをクローニングした。これらのCYP94Aはアミノ酸配列で60~80%の相同性を有していた。これらを出芽酵母で発現し、フェニルアセトアルドキシムを基質として休止菌体反応を行った。生成物はガスクロマトグラフィー質量分析計を用いて分析した。その結果、すべてのCYP94Aを発現した出芽酵母において(2-ニトロエチル)ベンゼンが検出された。これらのことから、ニトロ化合物を生合成する植物は限られているにも関わらず、多くのCYP94Aがニトロ基合成活性を有していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、複数の植物からCYP94Aをクローニングし、酵母での発現系を構築した。また、すべてのCYP94Aがニトロ基合成活性を示すことを確認できたため、本研究課題は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は様々な植物由来CYP94Aをクローニング、出芽酵母で発現し、ニトロ基合成活性を有していることを明らかにした。来年度は、それぞれのCYP94Aのアルドキシムや脂肪酸に対する活性を調査し、比較する。また、CYP94Aのホモロジーモデルを作製し、CYP94Aの基質認識に関与するアミノ酸残基の推定を行う。
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