2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of reactions based on trichloroacetimidate and synthetic studies of bioactive compounds
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20K05867
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
松島 芳隆 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (20282816)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | トリクロロアセトイミダート / 側鎖アミノ酸 / アミノアルコール / 分子内環化 / 窒素官能基の導入 / Cytoxazone / 分子内共役付加反応 / Amicoumacin |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、トリクロロアセトイミダートを用いた種々の反応を検討することを通じて、生物活性物質などの有用物質生産に応用する研究である。1,2-ジオールから誘導したbis-トリクロロアセトイミダート(bis-イミダート)の分子内環化反応についての検討に引き続き、トリクロロアセトイミダートの分子内共役付加反応についても検討し、除草活性を有するBacilosarcin Aを代表とするAmicoumacin類の側鎖アミノ酸の合成研究を行った。安価に入手可能なD-グルコースから調製可能な化合物を光学活性出発原料として選択し、それから得られるトリクロロアセトイミダートに対し分子内共役付加反応を検討した。その結果、高い選択性で窒素官能基の導入に成功し、その後のAmicoumacin類の側鎖アミノ酸への変換も達成した。本研究実績に関しては、学術論文として発表することができた(Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 2023, 87, 131-137.)。また、Cytoxazoneの合成についても研究を計画した。すなわち、Sharplessの不斉ジオール化によって得られるジオールを光学活性出発原料とし、環状サルファイト構造を有するトリクロロアセトイミダートを調製した。トリクロロアセトイミダートを求核剤とし、環状サルファイトを脱離基としてその分子内SN2反応を検討した。その結果、短工程でCytoxazoneの合成を達成、その成果を農芸化学会などで発表することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トリクロロアセトイミダートの分子内共役付加反応について、安価に入手可能なD-グルコースから調製可能な化合物を光学活性出発原料として選択し、それから得られるイミダートに対し検討した。これによって除草活性を有するBacilosarcin Aを代表とするAmicoumacin類の側鎖アミノ酸の合成を達成し、学術論文として発表した(Y. Matsushima, Y. Ogawa, K. Nishi, and K. Nakata, Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 2023, 87, 131-137. https:/doi.org/10.1093/bbb/zbac182)。このほか、当初の計画に示さなかったトリクロロアセトイミダートの分子内SN2反応についても検討した結果、Cytoxazoneの合成に成功し、学会発表することができた。これらを鑑みると、概ね当初の合成計画に従った研究が進行していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
トリクロロアセトイミダートの分子内SN2反応について検討し、Cytoxazoneの合成について研究計画し、一定の結果を得ている。これらの研究に関して、スケールアップや収率向上などを目的とした追加実験を実施し、最終的に論文投稿をする計画である。この他、bis-イミダートの分子内環化反応について、芳香環上の置換基(ニトロ基)の影響に関する研究についても追加で研究を行いたい。
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Causes of Carryover |
補助事業の目的をより精緻に達成するための研究の実施のため、次年度使用額が生じました。これは農芸化学会で発表したcytoxazoneの合成研究などに関して、追加実験を実施し、論文投稿をするなどの目的に使用します。この他、bis-イミダートの分子内環化反応について、芳香環上の置換基(ニトロ基)の影響に関する研究についても追加で研究を行いたい。具体的には、主に有機合成実験に使用する溶媒や試薬類などの消耗品や、論文投稿のための英文校正などに充当する計画である。
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