2021 Fiscal Year Research-status Report
ゲノムマイニングと生合成酵素阻害剤処理を組み合わせた手法による新規化合物の探索
Project/Area Number |
20K05872
|
Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
加藤 直樹 摂南大学, 農学部, 准教授 (90442946)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 生合成遺伝子クラスター / 糸状菌二次代謝 / 天然物生合成 / デカリン合成酵素 / 阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
天然物の創薬資源としての重要性は不変である。昨今の新規化合物発見の困難さを克服するための鍵が、微生物ゲノムに眠る多数の二次代謝物生合成遺伝子クラスター(BGC)である。ゲノムマイニングに生合成酵素阻害剤処理を組み合わせた新たな探索系を構築することが本研究の目的であり、デカリン合成酵素Fsa2とその生合成経路をモデルに、新規化合物とそのBGC取得を目指す。 Sequence similarity network(SSN)解析に基づくゲノムマイニングにより、新規BGC候補を絞り込み、そのBGCを保持する菌株をデカリン合成酵素阻害剤の有無で培養する。本研究で実証する二次代謝特異的な生合成酵素阻害剤を用いた探索系は、特定の部分構造を有する天然物を効率的に探索・収集でき、BGCへの紐付けも容易である。よって、新規天然物探索の新たな手法の1つとなることが大いに期待できる。 今年度は、土壌分離糸状菌の系統解析に基づき、系統分類的にレアな糸状菌のゲノム解読を実施し、推定デカリン化合物BGCを保持する糸状菌株を複数取得した。昨年度に確立した培養条件を用い、土壌分離糸状菌の中からデカリン化合物生産菌をスクリーニングするとともに、推定デカリン化合物BGC保有菌株に対する阻害剤の影響を評価した。その結果、新規デカリン化合物の生産菌候補の取得に成功した。また、SSN解析により未解析BGCの一群を同定し、当該BGCを保持する糸状菌株のノックアウト実験を行うことで、デカリン化合物とBGCとの紐付けを行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SSN解析により見出した未解析BGCを保持する生産菌の解析から、デカリン化合物の一群とBGCとの紐付けに成功した。また、土壌分離糸状菌を対象としたスクリーニングにより、新規デカリン化合物生産菌の候補を取得することができており、ほぼ予定通り研究が進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果に基づき研究を実施する。新規デカリン化合物生産菌からの化合物取得、構造解析を進めるとともに、ゲノム解読を行いBGCとの紐付けをする。ゲノムマイニングから見出したデカリン化合物生産菌についても同様に解析を進める。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で学会参加や研究打ち合わせのための旅費にかかる支出が少なかったため、繰越額が少額発生した。高額ではないので、次年度は研究計画に沿って、適正な予算執行に努める。
|
Research Products
(5 results)