2023 Fiscal Year Research-status Report
体内吸収性マイクロプラスチックの健康リスク:食品成分との相互作用を含めた検討
Project/Area Number |
20K05884
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Research Institution | Toyama College |
Principal Investigator |
竹内 弘幸 富山短期大学, その他部局等, 教授 (80551689)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マイクロプラスチック / 安全性 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、これまでに、0.1~1μmの蛍光レベルしたマイクロプラスチック(ポリスチレン)をラットに4週間経口投与しても、肝臓、腎臓および脳への蓄積性はほとんどないこと、肝機能や血清脂質濃度に対して大きな影響を及ぼさないことを明らかにしてきた。一方で、糞中には、多数の蛍光ビーズが観察された。また、利用されているプラスチックの多くは、ポリエチレンやポリプロピレンである。そこで、ポリエチレン製のマイクロプラスチックの安全についても検討を行った結果、肝機能、腎機能の指標、体内の炎症及び血清脂質濃度に対して、悪影響を及ぼさないことが観察された。一方で、マイクロプラスチックを投与した試験群の糞重量は、摂取したマイクロプラスチックに相当する重量分高い値を示した。 今年度は、蛍光ラベルしたマイクロプラスチックを静脈から直接体内に投与して、その動態について観察することとした。投与した3日後に解剖して、血液、肝臓、腎臓、尿中の蛍光プラスチックを観察した結果、肝臓に多数のマイクロプラスチックが蓄積していることが観察された。腎臓には、ごく僅かのマイクロプラスチックしか観察されたなかった。一方で、血液中や尿中には、全く観察されなかった。血中のマイクロプラスチックが観察されなかったことから、尿中の排泄の有無については、確認することができなかった。本研究の結果から、吸収されたマイクロプラスチックは、比較的短い時間に、主に肝臓に吸収されることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先行研究の知見から、0.1~1μm程度の微小なプラスチックは、ある程度吸収されて肝臓などの臓器に蓄積することが予見されていたが、今のところそのような現象を確認できていはいない。静脈投与による検討結果から、肝臓への蓄積は観察することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は、静脈に投与したマイクロプラスチックが、3日後肝臓に主に蓄積することが確認できたので、2024年度は、その動態についてさらに明らかにするため、経時的な検討を行っていく予定である。
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