2020 Fiscal Year Research-status Report
Effect of food structure on starch digestion for slow glucose release
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20K05886
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
佐々木 朋子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 上級研究員 (10353939)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 澱粉 / 米粉パン / 酵素分解性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、加工プロセスにより食品の構造特性を改変することにより、澱粉の消化性を制御しうる食品構造特性を解明することを目的とする。そこで本年度は、代表的なグルテンフリー食品である米粉100%のパンを対照試料としてグルテンと澱粉の相互作用がパンの内部構造、物性および澱粉消化性に及ぼす影響を検証した。米粉100%のパン、米粉重量に対して20%の割合でグルテンを添加したパンを調製し、焼成1日および4日後のパンを試料とした。ヒトの咀嚼を模擬した破砕処理を加えた後、タンパク質分解酵素のペプシンを添加した後澱粉分解酵素による澱粉分解率を測定する系と、ペプシンを反応させずに澱粉分解率を測定する系を用いてパンの澱粉消化性を比較した。さらにパンの内部構造を観察し、画像解析により空隙率をもとめ、併せて構造特性を反映するテクスチャー解析を実施した。グルテンを添加した米粉パンは、米粉100%のパンと比較して澱粉分解率が若干抑制される傾向が見られた。ペプシンの添加による顕著な澱粉分解率の差が見られなかったことから、澱粉消化性に及ぼすグルテンと澱粉の相互作用の影響は少ないことが考えられた。パンの内部構造を観察した結果、グルテンを添加することによって気泡が大きくなり、空隙率が上昇した。テクスチャー解析によるクラムの回復率はグルテンを添加することにより高くなり、内部結着力が低下する傾向が見られた。以上の結果から、グルテンを添加することによってパンの内部構造は大きく変化したが、グルテンと澱粉の相互作用が澱粉消化酵素の作用を抑制する効果は小さいことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画であった「グルテンフリー食品を対照試料としてグルテンと澱粉の相互作用が食品の内部構造や澱粉消化性に及ぼす影響を調べる」については、代表的なグルテンフリー食品である米粉パンを用いて、グルテンの添加がパンの内部構造および澱粉消化性に及ぼす影響を検証したことから、進捗状況はおおむね順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は1)グルテンフリー食品の品質改良のために添加される増粘多糖類に着目し、増粘多糖類が食品構造の変化および澱粉消化性に及ぼす影響の解明、2)製法の異なるゲル状食品を調製し、ゲルの内部構造と澱粉消化性との関連性解明、について研究を推進する予定である。まずは米粉100%のパンに増粘多糖類を添加した試料を用いて、各種多糖類が澱粉消化性およびパンの内部構造に及ぼす影響を解析すると共に、グルテンを添加した系においてグルテンと多糖類の相互作用がパンの澱粉消化性に及ぼす影響を解明する予定である。
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Causes of Carryover |
消耗品等が当初計画より安価に購入できたため。生じた次年度使用額については、チューブおよびチップ類の消耗品購入に使用する予定である。
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