2022 Fiscal Year Annual Research Report
High hydrostatic pressure inactivation of Escherichia coli under molecular crowding conditions
Project/Area Number |
20K05887
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
山本 和貴 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, グループ長補佐 (00353954)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 分子クラウディング / 大腸菌 / 高圧処理 / 損傷菌 / 保護効果 / エチレングリコール / ポリエチレングリコール / Ficoll |
Outline of Annual Research Achievements |
エチレングリコール(EG)、ポリエチレングリコール(PEG)等が溶液に分散した分子クラウディング状態(300~400 mg/ml)では、DNA非標準構造であるグアニン四重鎖構造が安定化し、高圧耐性が向上することが知られる。一方、食肉等は溶質含量30-40 %であり、分子クラウディング状態と同様であることから、高圧殺菌耐性が高まることが類推される。そこで、分子クラウディング剤(MCA)が、大腸菌の高圧不活性化に及ぼす影響を調べた。MCAとしてEG、PEG200、Ficoll(ショ糖-エピクロロヒドリン共重合体)を最大40 %w/w含むリン酸生理緩衝液に大腸菌を懸濁し、400-600 MPa、25 ℃で10分間処理し、選択培地で健常菌、非選択培地で健常菌及び損傷菌を検出した。 MCA無添加の対照区と比較すると、大腸菌が資化しないEG/PEG200の添加系において、600 MPa処理では耐圧性向上はなかったが、500 MPa処理では40 %添加区で健常菌及び損傷菌が2~4桁多く検出された。400 MPa処理では、EGの10 %添加系で弱いが特異的な保護効果があり、PEG200添加系では添加濃度依存的に損傷菌・健常菌の検出数が増えた。一方、大腸菌がショ糖に近い程度に資化するFicollを添加した系では、600 MPa処理では30 %・40 %添加区で明らかに耐圧性向上があり、1~2桁多い損傷菌が検出され、特に40 %添加系では2桁多い健常菌が検出された。500 MPa処理では、40 %添加区のみで健常菌及び損傷菌の顕著な増加があった。400 MPa処理では、添加濃度依存的に損傷菌検出数が増す傾向がみられた。 以上、30/40% MCAの添加系で作出した分子クラウディング状態では、大腸菌の高圧損傷に保護効果があり、特に40 %添加系では健常菌の検出に繋がる保護効果が見出された。
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