2023 Fiscal Year Annual Research Report
Visualization for reception of poorly absorbable food compounds on intestinal epithelia
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20K05890
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藍原 祥子 神戸大学, 農学研究科, 助教 (30620877)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 難消化性食品成分 / 苦味受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、難消化性ながら身体に影響を及ぼす食品成分の機能として腸管上皮による受容と腸脳相関に着目し、作用機序を明らかにするものである。本年度の成果は次の通り。①難消化性食品成分の受容に関して構造化学的な知見を得るため、分子ドッキングシミュレーションによる構造解析を試みた。消化管に存在し、さまざまな化合物を受容するタンパク質として、苦味受容体が知られている。TAS2Rと名付けられた苦味受容体はヒトで25種類存在する。そのうちのTAS2R38はヒトにおいて一塩基多型の変異による機能の有無が知られており、柑橘類に含まれる苦味成分に結合すると言われている。さらにリモニンの前駆体はリモニンの環構造がひとつない状態であり、苦味がない。そこで我々は、リモニンとTAS2R38を例として、分子ドッキングシミュレーションおよび分子動力学シミュレーションを行った。その結果、リモニンの環構造がTAS2R38との安定的な結合に関与していることが示された。②前年度に引き続き、腸上皮での作用を観察するための実験系として、マウスの大腸オルガノイドの作成に取り組んだ。その結果、既報に似た特徴をもつオルガノイドを作成することができた。 以上の最終年度の成果をふまえ、研究期間全体としては以下の3つの成果を得た。 1.腸上皮での受容を経時的に解析するシステムとして、マウスを用いた腸管上皮のライブイメージング系の構築を行った。YC3.60を導入したマウスを用いて、アリルイソチオシアネートによるカルシウム濃度変化を検出した。 2.1の実験を簡易にするために、腸オルガノイドを用いた実験系の構築を行い、オルガノイドを安定的に作成するところまで達成した。 3.難消化性食品成分の受容体探索の方法として、計算科学的な手法を利用するため、まずは具体的な候補分子のシミュレーションを行い、結合部位を明らかにした。
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