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2020 Fiscal Year Research-status Report

Studies on properties and utilization of granular size-classified starches of the sweetpotato low temperature gelatinizing starch

Research Project

Project/Area Number 20K05892
Research InstitutionKagoshima University

Principal Investigator

北原 兼文  鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (30240922)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywordsサツマイモ澱粉 / 低温糊化澱粉 / 分級澱粉 / 分子構造 / 物理化学特性 / 澱粉利用
Outline of Annual Research Achievements

サツマイモ品種「こなみずき」の市販低温糊化澱粉から大、中、小粒子の分級澱粉を調製した。平均粒径は、大粒子45.3μm、中粒子30.2μm、小粒子8.7μmであり、良好に分級できていると判断した。RVA粘度特性では小粒子が低い最高粘度と高い最終粘度を示し、DSC糊化特性では小粒子の糊化吸熱ピークがブロード化することが特徴的であった。ヨウ素呈色法によるアミロース含量は、大粒子18.6%、中粒子19.7%、小粒子20.9%であり、結合リン酸含量は、大粒子1.14 μmol/g、中粒子0.98 μmol/g、小粒子0.94 μmol/gであり、いずれも粒径との関連が認められた。脱脂澱粉及びアミロペクチンを調製し、構成単位鎖分布をGPC法とHPAEC法で調べた。アミロペクチンを構成する超長鎖は粒径が小さくなるにつれ減少し、脱脂澱粉の高分子画分からアミロペクチンの超長鎖を差し引いた真のアミロース含量は大粒子で14.5%、中粒子で16.4%、小粒子で18.8%となり、小粒子ほどアミロース成分の多いことが明白となった。また、HPAEC法によるアミロペクチンの短鎖分析では、粒径が小さくなるにつれ重合度6~10の極短鎖の割合が増大することが分かった。このような澱粉構造の粒径依存性は、澱粉粒の成長過程における構造変化として興味深く思われた。さらに、小粒子は高アミロース性に起因して、糊化抵抗性を示し、老化速度の速いことが分かった。一方、全体の約7割を占める中粒子の利用特性として、6%澱粉の付着性と貯蔵弾性率を調べた結果、未分級の澱粉に比べて、中粒子はえい糸性が高く、流動的で滑らかな物性を有することが分かり、新たな澱粉素材の可能性を示唆した。
以上、サツマイモ低温糊化澱粉は、粒径により分子構造の相違と、それに伴う糊化・老化特性やゲル物性が異なり、明瞭な不均一性が存在することが明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

令和2年度は新型コロナウイルス感染防止のため、人の移動と研究活動が一部制約を受けた。そのため、研究協力者による栽培サツマイモ塊根を本年度の研究試料とせず、サツマイモ低温糊化澱粉を上市している株式会社サナスから入手した市販澱粉を研究対象とした。市販低温糊化澱粉からの分級澱粉は、研究の推進を遅延することなく調製することができ、その結果、「研究実績の概要」の項で報告したように、本来の研究目的と計画に応じた成果を得るに至った。一方、近年の鹿児島県におけるサツマイモ栽培では、サツマイモ基腐れ病の拡大による栽培不良が問題となっているが、令和2年度中に鹿児島県農業開発総合センター大隅支場(鹿屋市)の協力のもと実施した「こなみずき」栽培においては、健全な肥大初期塊根(栽培120日)及び成熟塊根(栽培180日)をサンプリングすることができた。既に、それぞれの塊根から澱粉調製を行い、次年度以降の試料を確保している。
以上のように、新型コロナウイルス禍及びサツマイモ基腐れ病の影響を克服し、低温糊化澱粉の分級澱粉について物理化学特性を明らかにしたことから、本研究の初年度の達成率は90%以上と判断した。

Strategy for Future Research Activity

令和2年度の研究結果から、低温糊化澱粉は、特に小粒子に分子構造及び物理化学特性に特徴が認められる一方、中粒子と大粒子の特性は概して類似することが分かった。そこで、「こなみずき」の肥大初期塊根(栽培120日)及び成熟塊根(栽培180日)の澱粉については、小粒子とその他の粒子の2区分の分級澱粉を調製し、RVA粘度特性やDSC糊化特性、老化特性及び分子構造特性を明らかにすることとした。これらの結果から、塊根の成長過程における澱粉粒の不均一性や澱粉の成長過程における澱粉粒の不均一性に関する澱粉科学の新知見が期待される。
一方、低温糊化澱粉は、大粒子と小粒子を除去して澱粉粒の粒径を揃えると(中粒子画分)、糊化・老化性やゲル物性が変化することが分かった。引き続き、このような分級澱粉の利用特性について調べる。

Causes of Carryover

令和2年度は、予定していた学会参加がオンライン開催となったため、旅費の支出がなかった。また、本研究で多用するラピッドビスコアナライザーが年末に故障し、修理費として予算執行を保留していたが、新型コロナウイルス禍で早急な出張修理ができずに、機器の配送による修理となり、結果的に年度をまたぐ修理となった。
次年度使用額の使用計画については、上述の修理費に充当及び現有の老朽化したHPLC溶媒脱気装置の更新に支出予定である。

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Published: 2021-12-27  

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