2022 Fiscal Year Annual Research Report
国際的整合性を満たした食品衛生検査の技能試験に利用可能なボツリヌス菌標準株の開発
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20K05904
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
山崎 栄樹 帯広畜産大学, 動物・食品検査診断センター, 准教授 (40514708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茅野 光範 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (20590095)
奥村 香世 国立感染症研究所, 安全実験管理部, 主任研究官 (70415561)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 標準試験法 / 食品からの微生物標準試験法検討委員会 / ボツリヌス菌 / 技能試験 / LOD50 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではボツリヌス遺伝子標準試験法に対応する国内の様々な試験室で実施可能な技能試験法の整備を目的とした。技能試験の実施においては、標準株を利用した試験が最も基本的な方法であるが、ボツリヌス菌においては感染症法に規定された制限から、標準株の配布が不可能である。この問題に対する解決策として本研究では法律の制限を受けない標準株の作製について検討した。しかしながら研究期間内に、法的制限を受けずに配布可能な標準株として妥当性をもつ菌株の獲得には至らなかった。 一方で、本研究では標準菌株配布の代替としてボツリヌス菌株標準試験品の作製プロトコールの整備を行った。プロトコールの作成にあたっては、ボツリヌス菌に関する国内公定法にて示される芽胞液調整手順を基本とすることで、技能試験を実施しようとする試験所にとって無理なく導入可能となるようにした。これまでに、同プロトコールに従って、複数の独立した研究機関において安定的なボツリヌス菌株標準試験品の作製が可能であることを確認している。 加えて、ボツリヌス菌株標準試験品を用いた技能試験における基準値について算出を行った。技能試験の評価方法についてはISO16140-3:2021において標準試験法を利用しようとする試験室が適切な感度で当該試験を実施する能力をもっているかを検証するための手順が示され、同手順においては検証に必要な基準値としてLOD50が採用されている。本研究では国内の試験室において技能試験の基準値となるLOD50の算出を行い、国内においても国際的に認められる形での技能試験が可能となるようにした。 本研究で得られた成果は、法的制限が強い微生物の試験に関する国際的整合性を確保した技能試験法構築のモデルとなるものである。
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