2022 Fiscal Year Annual Research Report
植物資源からの多糖類の抽出とそれを利用した食品機能剤の創出
Project/Area Number |
20K05919
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
中村 彰宏 茨城大学, 農学部, 教授 (00803735)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 植物 / 未利用資源 / 食品 / 水溶性多糖類 / 安定剤 / 構造 / メチルエステル |
Outline of Annual Research Achievements |
エンドウ繊維由来の水溶性エンドウ多糖類(Soluble Pea Polysaccharide; PPS)を用い、エステル化度と乳タンパク質の分散安定化能の相関を解析するとともに、安定化のメカニズムについて解析を試みた。エンドウ繊維より抽出した高メチルエステル化PPS(HM-PPS; メチルエステル化度(DMe)=71.0%)と、HM-PPSのメチルエステルを部分分解して得た低メチルエステル化PPS(LM-PPS; DMe=25.2%)を用い、構造(エステル化度)および機能特性の解析を行なった。ゲル濾過クロマトグラフィー多角光散乱検出器で算出したHM-PPSとLM-PPSのMwはいずれも約1,000kg/molと見積もられた。HM-PPSとLM-PPSは、アラビノース42.2-47.1%、グルコース26.6-31.0%、ガラクツロン酸17.5-18.0%で構成され、両者の構成糖に差異は認められなかった。走査型プローブ顕微鏡で観察したHM-PPSとLM-PPSの分子構造はいずれも分岐を持つ直鎖構造であり、本研究で明らかになったLPSおよびKPSの分子構造に類似の構造であった。HM-PPSとLM-PPSは、いずれもpH4.4以下の酸性下で乳タンパク質粒子を分散安定化する機能を有す一方、乳タンパク質への吸着特性と分散安定化の機構に違いが認められた。LM-PPSは、pH3.6-4.4で乳タンパク質の凝集を最小限に抑えて微細粒子として分散させ、乳タンパク質粒子の表面に形成したLM-PPSの実効負電荷により静電反発を起こして長期間に渡り安定状態を維持した。一方、HM-PPSは、乳タンパク質を微細粒子として分散する点は同じだが、負電荷が弱いPPS糖鎖の絡まりによって経時的に乳タンパク質粒子が架橋凝集し、長期の安定性が維持できないことが推察された。
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