2021 Fiscal Year Research-status Report
NAD合成系酵素の発現制御機構の解明と食品因子による肥満関連疾患の予防への応用
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20K05922
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
三谷 塁一 信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (40773304)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大豆イソフラボン / 脂肪組織 / NAMPT / NAD |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満関連疾患の発症は,補酵素であるNAD+の減少による脂肪細胞に起因すると考えられている。そして、高脂肪食の摂取がNAD+合成経路の律速酵素Nicotinamide phosphoribosyl-transferase (NAMPT)の発現を抑制し、これがNAD+合成量の低下と細胞老化を引き起こすことが明らかにされた。従って、NAMPTの発現量を増加することができれば、細胞老化を抑制し肥満関連疾患を制御しえる考えられる。昨年度の成果から私達は、脂肪細胞におけるNAMPTの発現を増加する食品成分として大豆イソフラボンであるゲニステインを見出している。本年度は、ゲニステイン摂取によって脂肪組織のNAMPTの発現量が増加するのかを検証し、さらに高脂肪食によるインスリン抵抗性への影響を検討した。 高脂肪食にゲニステイン混餌した飼料を3ヶ月間自由摂取したマウスでは、高脂肪食のみを摂取したマウスと比較して皮下脂肪組織および内臓脂肪組織のNamptタンパク質量、NAD含有量が顕著に増加した。また経口糖負荷試験においても、ゲニステインの摂取により血糖値の上昇抑制効果が示された。一方、NAMPTをヘテロノックアウトしたマスウでは、ゲニステイン摂取による、脂肪組織のNAMPTタンパク質、NAD含有量の増加は示されなかった。さらに、NAMPTをヘテロノックアウトは、野生型マウスよりも高い空腹時血糖値を示し、ゲニステイン摂取による血糖値の上昇抑制効果も示されなかった。以上の結果から、NAMPTによるNAD量の維持は、血糖値の正常維持に寄与しており、ゲニステインによる血糖値の上昇抑制効果はNAMPTの発現増加に起因していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度予定していた動物試験の結果も予想通りに得られたため、計画通りに研究を勧めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
動物実験の結果を踏まえて、ゲニステイン摂取によるNAMPTの発現量増加とNAD含有量の増加によって、細胞老化が抑制されているのかを検証していく。
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Causes of Carryover |
計画していた動物実験において、当初条件検討や再現性所得を含めた経費で計上していたが、思いの外、実験が順調に進んだため。
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