2022 Fiscal Year Research-status Report
独自の合成法と検出法を基盤としたγECの特性評価と機能性食品への応用
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20K05923
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
平田 收正 和歌山県立医科大学, 薬学部, 教授 (30199062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長野 一也 大阪大学, 薬学研究科, 准教授 (40548301)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 機能性食品 / γEC |
Outline of Annual Research Achievements |
γEC の体内動態について、昨年度までに、GSHとγECそれぞれの還元体・酸化体であるGSHとGSSG、γECとγEC-γECを区別して定量できる系を構築した。また、Caco2細胞を用いたin vitro小腸上皮細胞透過性モデル試験により、トランズウエル上層に添加したGSHとrECが下層で検出され、腸吸収される可能性が示された。そこで本年度は、GSHとrECの吸収機構を明らかにする一環として、GSHとrEC が同一のトランスポーターの基質となって輸送されているのか、競合試験を試みた。トランズウエル上層に同濃度のGSHとrECを共添加した結果、下層で検出されるGSHとrEC量に違いは認められず、競合していない可能性が考えられた。すなわち、GSHとrECは類似構造ながら、同一ではなく、別々のトランスポーターの基質になっている可能性も考えられた。 γEC の機能について、昨年度までに、γEC の抗酸化活性はGSHと同程度であるうえ、アスコルビン酸よりも強い可能性を示した。また、昇圧蛋白質ACEの阻害活性では、GSHとγECは共に阻害したものの、γECの阻害活性はGSHよりも480倍弱いことが見出された。そこで本年度は、ドッキングシミュレーションにより阻害活性機序を解析した。その結果、GSHとrECは共に、ACEの活性中心であるZnに対して、チオール基ではなく、GluのCOOH基が結合し、どちらも両端のCOOH基が酵素のアミノ酸残基と水素結合で安定化していることが予測された。一方、2つの末端COOH基の距離は、γECで7.7Åであったのに対し、GSHで5.3Åとより短く、小さく収まっていることが推察された。つまり、GSHは両端のCOOH基が近づくように折れ曲がることで酵素ポケットにコンパクトに収まって、水素結合の数が多くなり、より強くACE阻害作用を発揮したと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究実施計画にそって、研究が推進したため。
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Strategy for Future Research Activity |
動態解析・機能解析ともに、これまでに収集された成果のうち、再現性がとられていないデータについては、再現されるか検証する。また、再現性の検証にあたっては、詳細を明らかにするため、必要に応じて、添加濃度や解析時間など、群取りを最適化しながら解析する。収集された成果は、残費用を考慮しつつ、極力、学会などで公表することに努める。
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Causes of Carryover |
本研究の目的をより精緻に達成するため、追加・再現実験や、学会参加、論文投稿などに必要な費用が必要になったため。期間延長した1年間で、追加・再現実験や、学会参加、論文投稿などを完了させる予定である。
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