2021 Fiscal Year Research-status Report
難消化性多糖による腸内微小環境の変動を介した炎症性腸疾患の予防
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20K05929
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
古澤 之裕 富山県立大学, 工学部, 准教授 (80632306)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 食物繊維 / 炎症性腸疾患 / 制御性T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
水溶性の食物繊維として知られる4種類の難消化性多糖に着目し、短鎖脂肪酸産生および腸管制御性T細胞への影響を検討したところ、短鎖脂肪酸産生に与える影響は摂取する多糖によって異なり、多糖AおよびBでは変化が顕著であったが、多糖CおよびDではわずかであった。短鎖脂肪酸への影響と相関して、多糖AおよびBの摂取群では、腸管制御性T細胞の増加が顕著にみられた。そこで、本年度は制御性T細胞誘導能の異なる多糖Aおよび多糖Dについて、炎症性腸疾患の予防作用があるか検討した。トリニトロベンゼンスルホン酸を皮膚感作・腸注することで、炎症性腸疾患モデルマウスを作成した。モデル作成に際し、あらかじめ多糖を摂取させることで、腸炎予防効果を検証した。その結果、未接種群と比較していずれの多糖摂取軍でも生存率の上昇がみられたが、制御性T細胞誘導効果をもつ多糖Aの効果が顕著であった。また、体重減少や炎症スコアについても、多糖A摂取群で最も改善がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度制御性T細胞誘導能をもつ多糖を同定し、本年度はその腸炎予防効果についても検証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまだ検証済みでない多糖についても炎症抑制効果を調べるとともに、新たに入手した物性の異なる多糖についても腸内細菌、短鎖脂肪酸、制御性T細胞や腸炎に与える影響を検討していく。
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Causes of Carryover |
予算執行はほぼ当初計画通りであったが、いくつかの消耗品のディスカウントにより端数が生じたため。
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