2021 Fiscal Year Research-status Report
Study of gallic acid about the function as an epigenetic controller for glyconeogenesis.
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20K05942
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
田中 祐司 高崎健康福祉大学, 薬学部, 講師 (90453422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大日方 英 群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (50332557)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | KDM2A / リボソームRNA / 没食子酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの解析から、MCF-7への没食子酸処理はAMPK活性化と活性酸素種(ROS)産生を誘導でき、これを必要としてKDM2A依存的な制御を誘導し細胞増殖を抑制する事が分かっていた(Cells 2020)。一方、この現象は特定濃度のみで発揮された事から、没食子酸に官能基付与などを行い、作用濃度を広域にする工夫が必要と予見された。そこで、没食子酸構造を含む化合物の没食子酸プロピルと没食子酸エピガロカテキンを解析した所、KDM2A依存的な制御を誘導できる事が分かった(Biomolecules 2021)。この事から没食子酸構造を含む化合部はKDM2A活性の誘導が可能と考えられたが、作用濃度は通常の没食子酸とは大差なかった。この結果から、肝臓細胞株での解析は通常の没食子酸で行っていく事とした。 次に、没食子酸が肝臓細胞株HepG2で機能発揮するかを検討した所、没食子酸はHepG2細胞でもAMPK活性化を誘導でき、KDM2A依存的なrRNA転写抑制を誘導できる事が分かり、MCF-7細胞と同様の機能を発揮すると考えられた。また、グリセロールリン酸シャトル構成酵素GPD2の阻害剤(iGP)処理でも同様の現象を誘導した。よって、HepG2細胞では没食子酸はグリセロールリン酸シャトルを阻害する可能性があった。さらに、没食子酸処理時にKDM2A依存的制御を受ける遺伝子の探索を行った。当初RNA-seq.を行う予定だったが、変更し、公共データベースの類似データを解析し、候補遺伝子を抽出しRTPCR法で検討した所、血糖値に関連する2つの候補遺伝子が見つかった。現在、遺伝子発現機構解析を進めている。一方、没食子酸による高血糖改善機序の候補として細胞のグルコース取り込み能変化を想像した事から、アッセイ系構築に着手した。没食子酸によりグルコース取り込み能が変わる傾向を得たため、解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で、研究実施が困難になったり、大学講義などのエフォートが予想より上昇したために、研究に割けるエフォートが減少してしまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析で、当初の目標の1つである没食子酸によるKDM2A依存的rRNA転写制御の誘導機序、没食子酸誘導体による調節の可能性については一定の結論を得た。今後は肝臓細胞HepG2で没食子酸の機能解析、特にKDM2A依存的制御の解析を通じ、没食子酸によるエピジェネティック制御の解析と、それによる糖質制御への影響を明らかにしたい。 現時点で、没食子酸によりKDM2A依存的に制御を受け、高血糖に関連する遺伝子(GO解析による機能示唆)候補を2つ同定できたので、この制御機構解析、代謝変動、発現変化による糖代謝制御への影響を解析し、没食子酸による抗高血糖作用の理解の一助としたい。 また、没食子酸によるKDM2A活性の誘導機序の仮説の1つにグリセロールリン酸シャトル阻害を考えていたが、グリセロールリン酸シャトル構成酵素の1つGPD2の阻害剤でも、没食子酸と類似の活性を誘導できる可能性が見えてきたので、この解析を進め、没食子酸によるKDM2A依存的制御の誘導機序も研究を進展させたい。 既に没食子酸による抗高血糖作用は報告されているものの、その機序については殆ど不明であるため、抗高血糖作用について、rRNA転写を通じた機序と新規制御遺伝子制御を介したの機序を明らかにしていきたい。
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Causes of Carryover |
研究進展が遅れている為に次年度使用額が生じてしまった。次年度以降も計画通りに研究を進展させる予定の為、特に使用計画を変更せずに使用していく予定です。
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Research Products
(4 results)