2022 Fiscal Year Annual Research Report
還元糖の新規機能の開発-キラル化合物のラセミ化抑制作用機構の解明と食品への展開
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20K05944
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小玉 修嗣 東海大学, 理学部, 教授 (70360807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多賀 淳 近畿大学, 薬学部, 教授 (20247951)
會澤 宣一 富山大学, 学術研究部工学系, 教授 (60231099)
山本 敦 中部大学, 応用生物学部, 教授 (60360806)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 異性化 / エピ化 / カテキン / エピカテキン / アブシジン酸 / 光学異性体分析 / シクロデキストリン / 高速液体クロマトグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
カテキンとエピカテキン(1)、及びアブシジン酸(2)を対象化合物として、シクロデキストリン(CD)を添加した移動相とフェニルカラム用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による光学異性体分析法を検討し、糖類による異性化抑制作用について検討した。 (1)カテキンとエピカテキンにはそれぞれ2つの不斉炭素原子があり、カテキンの光学異性体は(+)-体(2R, 3S)と(-)-体(2S, 3R)であり、エピカテキンの光学異性体は(+)-体(2S, 3S)と(-)-体(2R, 3R)である。加熱処理によりそれぞれ片方の不斉炭素原子のみが異性化(エピ化)することが知られている。このエピ化に及ぼす糖類の影響を調べるために、β-CDを添加した移動相とフェニルカラムを用いたHPLCによる光学異性体分析法を検討した。(+)-カテキンと(+)-エピカテキンのエピ化に及ぼす糖類(スクロース、グルコースとフルクトース)の影響を検討した。その結果、(+)-カテキンと(+)-エピカテキンの両化合物とも、フルクトースにのみエピ化抑制作用が認められた。 (2)γ-CDを添加した移動相を用いたHPLCにより、植物ホルモンの一つであるアブシジン酸(2-cis,4-trans)の光学異性体分析法を確立した。アカシアハチミツ中のアブシジン酸を分析したところ、(S)-アブシジン酸だけが検出された。(S)-アブシジン酸は加熱によって異性化しなかった。一方、紫外線照射により2-tras,4-trans-アブシジン酸(trans-アブシジン酸)が生成することが知られている。今回確立した光学異性体分析法を適用した結果、(S)-アブシジン酸からは(S)-trans-アブシジン酸が生成することが分かった。このtrans-アブシジン酸生成に及ぼす上記3種類の糖類の影響を検討したが、この光異性化には影響しないことが分かった。
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Research Products
(3 results)