2020 Fiscal Year Research-status Report
Functional analysis on the role of root-associated microbiota on plant growth under alkaline condition
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20K05955
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 将典 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (20615273)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 根圏マイクロバイオータ / アルカリ不良土壌 / 鉄欠乏 |
Outline of Annual Research Achievements |
全世界の耕地のうち、およそ3割がアルカリ不良土壌であると言われる。アルカリ土壌では、鉄などの微量養分の不溶化・塩類集積・高pHによ る複合的なストレスが、植物の健康な生育を著しく妨げている。したがって、植物に高度なアルカリ土壌耐性を付与できれば、農業生産性を高めることができる。また、農耕地などで育つ植物の根圏には、細菌を含む多様な微生物群集「根圏マイクロバイオータ」が生息し、植物の栄養吸収や環境ストレス耐性等を向上させている。本研究では、根圏マイクロバイオータに着目し、根圏の微生物集団が植物のアルカリ土壌耐性に寄与するメカニズムの一端を明らかにすることを目指す。 本年度は、植物の根から分泌される二次代謝産物であるクマリン類の合成変異体などについて、鉄欠乏土壌における生育調査および根圏マイクロバイオータのコミュニティ解析を行なった。その結果、鉄欠乏土壌においてクマリン変異体は、典型的な鉄欠乏症状を示すとともに、根圏マイクロバイオータのコミュニティ構造が有意に変化することを見出した。この結果から、根から分泌されるクマリン類は鉄欠乏土壌における植物の健康な生育に不可欠であるとともに、根圏マイクロバイオータの形成に関与することが示唆された。 また、根圏マイクロバイオータの再構成系を用いて、鉄欠乏条件下において野生型植物およびクマリン変異体を生育させ、再構成した根圏マイクロバイオータの影響を調査した。その結果、鉄欠乏条件下においてクマリンの合成に依存して根圏マイクロバイオータによる生育改善効果が観察された。以上のことから、根圏マイクロバイオータは植物の根から分泌されるクマリンに応答して、鉄欠乏状態にある植物の生育を改善させる活性を示す可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画も沿って研究を実施できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って研究を実施する。
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Causes of Carryover |
本年度の次年度使用額は一千円未満と少額であるため、ほぼ当初計画の通りに研究費を使用できたと考えている。次年度も当初の研究計画に沿って使用予定である。
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Research Products
(5 results)