2021 Fiscal Year Research-status Report
Functional analysis on the role of root-associated microbiota on plant growth under alkaline condition
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20K05955
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 将典 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (20615273)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 根圏マイクロバイオータ / アルカリ不良土壌 / 鉄欠乏 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、前年度に引き続いて植物の栄養吸収や環境ストレス耐性等を向上させる根圏マイクロバイオータに着目し、根圏マイクロバイオータが植物のアルカリ土壌耐性に寄与するメカニズムの一端を明らかにすることを目指す。 本年度は、植物根の分泌性の二次代謝産物であるクマリン類が根圏細菌のin vitroにおける増殖に対して与える影響を、細菌の濁度変化を指標として調べた。その結果、根圏細菌に対する影響は、細菌の菌株の違いとクマリン類の種類によって変化することが明らかになった。このことから、クマリン変異体で見られた根圏マイクロバイオータのコミュニティ構造の変化は、クマリン類の抗菌活性により部分的に説明できる可能性が示唆された。 次に、クマリン類の合成変異体と野生型植物を用いて、鉄栄養を変化させた条件下で合成コミュニティ接種による植物の転写応答を調べた。その結果、鉄欠乏条件下における野生型植物では鉄欠乏応答が誘導されることを確認した。鉄欠乏条件下で野生型植物に合成コミュニティを接種した場合には、鉄欠乏応答の強化ではなく、鉄欠乏応答の緩和が誘導されることが示唆された。他方で、クマリン類変異体では、鉄欠乏条件下で合成コミュニティ接種の有無にかかわらず、鉄欠乏応答が誘導されていた。以上のことから、合成コミュニティ接種による鉄欠乏からの生育改善効果は、クマリン類からの作用を受けた根圏微生物が不溶性の鉄をキレートもしくは還元することにより植物に吸収されると予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿って研究を実施できたため。特に合成コミュニティ接種時の植物の転写応答を調べたことにより、クマリン類と根圏マイクロバイオータの相互作用による植物の鉄吸収促進機構について有用な知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って研究を実施する。
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Causes of Carryover |
年度末に関連する国内学会への参加を計画していたが、異動により予定が合わず参加できなかったため、旅費として確保していた経費が次年度使用額となった。次年度に国内学会に参加することで使用する計画である。
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Research Products
(2 results)