2020 Fiscal Year Research-status Report
線虫C. elegansにおける排泄リズムの制御と消化・寿命への影響
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20K05964
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
廣田 恵子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (00375370)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 線虫 / 排泄 |
Outline of Annual Research Achievements |
“排泄”は食餌の摂取と共に重要な生命活動の一つであるといえる。これまで、食餌量と長寿との相関が解析され、カロリー制限のような摂取栄養の減少が長寿命を惹起すること、またそれは種を超えて保存されていることが明らかになっている。一方で、排泄もまた、腸での消化吸収活動を通して生体の栄養摂取に多大な影響を及ぼす可能性があるが、寿命との関係はほとんど解析されていない。本研究では、線虫 Caenorhabditis elegans を用いて、排泄のメカニズムとその生理作用を解明することを目的とした。 線虫は、体長約1ミリメートルの多細胞モデル生物である。咽頭のポンプ運動によりエサである大腸菌を常時摂食し、唯一の消化管である腸での消化吸収を経て、約50秒に一度肛門部より排泄をするという、非常にシンプルな食餌の“摂取―排泄系”をもつ。また、体が透明のため、生きたまま腸細胞の形態、腸内腔や大腸菌の消化度合いが観察可能であるという利点を持つ。従って、食餌の“摂取―排泄系”を解析するには最適のモデル動物であり、それらの特徴から、本研究では線虫を用いて解析を行った。本年度は、まず、排泄リズム専用測定ソフトウエアを利用し、線虫の排泄リズムの測定系を確立する事に成功した。また、経時的な排泄リズムの変動や栄養条件などの飼育環境が変化した際の排泄リズムの変動を明らかにした。これらのデータは本研究を推進していく上で基盤となるデータで有り、次年度はこれら研究から確立した方法を用いて研究を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は排泄リズムの測定系を確立することが出来た。これは、本研究を進める上で基盤となる実験系であり、今後の研究の進展に大きな推進力をもたらすと考える。また、各種変異体の寿命測定も開始しており、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、既に同定されている排泄リズム変異体の寿命測定を行い、寿命が変化した変異体に関して、排泄リズムの関与があるかについて解析を行っていく予定である。また、排泄と消化の関係に関しても解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染防止のため、実験をすることが出来ない期間が生じたため。
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