2021 Fiscal Year Research-status Report
イネ巨大胚変異体を利用した胚－胚乳間相互作用における胚側要因の解明
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20K05975
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| Research Institution | Kibi International University |
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Principal Investigator |
桧原 健一郎 吉備国際大学, 農学部, 准教授 (10595713)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | イネ / 胚発生 / 胚乳発生 / 細胞死 / 胚サイズ / 有胚乳種子 / シトクロムP450 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、巨大胚変異体(ge)に着目し、胚―胚乳間相互作用に関与すると考えられる胚盤組織の役割ならびに胚の巨大化を引き起こす胚側因子やそのシグナル伝達経路に関わる分子を特定することで胚の大きさを決定する分子機構を明らかにすることを目的として、以下の2つの解析を実施した。
1)胚－胚乳間相互作用における胚盤の役割
野生型、ge変異体を用いたLMD (Laser Microdissection)法による胚盤組織特異的に発現変動する遺伝子の特定を目指すため、LMD用の子房サンプリングを実施し、LMDによる切片からRNAを回収してRNA-seq解析を行い、現在データの解析を行っているところである。また、昨年度実施したapd変異体の原因遺伝子を確定する目的で行った相補性試験やゲノム編集による結果から変異を見つけた遺伝子が原因であることが明らかとなった。
2)巨大胚系統を用いた胚巨大化要因の同定:巨大胚を促すGE遺伝子がコードするシトクロムP450タンパク質を介した代謝経路ならびにシグナル伝達経路を同定するため、巨大胚の表現型を抑圧するges1、ges2、ges3の胚発生過程における表現型解析を行った。また、ges1-ges3変異に着目して原因遺伝子の同定などを目指すために、NGS解析を実施し、網羅的に変異箇所を抽出した。それらのデータ解析からges1、ges2において原因となりうる候補変異部位を特定し、その変異が存在する遺伝子についてゲノム編集系統の作成や相補性試験用の形質転換などを行い、ge抑制効果の再検証を行っている。また、変異部位が特定できていないges3ならびに新しく単離したges4、ges5に関しては戻し交配を行い、NGS解析用の植物体系統の作成を実施した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度まではRNAseq解析の実行に至るまでが遅れていた。今年度は研究協力者の協力により、『(1)胚－胚乳間相互作用における胚盤の役割に関する研究』では研究計画時に想定に近い状態まで研究は進んだが、新型コロナ感染症の影響により実験補助員の雇用期間の短縮などもあり、遺伝子組換え、ゲノム編集などの実験に時間が取られ、RNAseq解析から得られたデータ解析に十分な時間を確保できず、研究計画全体で見ると当初計画よりはやや遅れている状況である。
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| Strategy for Future Research Activity |
新型コロナ感染症により様々な活動に制限がかかる状況下でも、研究協力者や外部委託なども利用しながら実験計画を遂行する予定である。RNAseq解析から得られたデータの解釈や再現性の確認など『(1)胚－胚乳間相互作用における胚盤の役割に関する研究』ではデータ解析結果によって実施する実験が異なることが予想される。なるべく早くRNA-seq解析結果をまとめ、今後の研究展開を明確にする必要がある。『(2)巨大胚系統を用いた胚巨大化要因の同定』では、NGS解析用の植物体種子が得られたらすぐにNGS解析が実施できるようにセットアップし、研究期間内に巨大化要因を１つでも多く同定できるようにしたい。
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| Causes of Carryover |
新型コロナ感染症による出張の制限、学会のオンライン化、研究補助員の雇用期間の短縮、ならびにRNAseq解析後のデータ解析が遅れているため、次の実験計画が進められないことなどにより次年度使用額に差が生じた。次年度使用の助成金はこれらの解析を中心に使用する予定であるが、出張や研究補助員の雇用などは新型コロナ感染症の状況により変動する可能性もあるため、NGS解析、ゲノム編集植物の育成や表現型解析など今後予定している研究がよりスムーズに行えるように実験環境の改善するために使用する。
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