2020 Fiscal Year Research-status Report
Molecular mechanism of devernalization to realize high yield
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20K05977
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
黒田 洋輔 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, 主席研究員 (40595071)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脱春化 / 開花抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、栄養成長期間が長いほどバイオマス生産性が向上するテンサイについて、「一度獲得した春化を解除する仕組み」を明らかにすることを通じて、従来から用いられてきた種子や苗の代わりに、より生育の進んだ植物体(以下「肥大根」と呼ぶ)を春の段階で定植する新たな栽培方法を検討する。初年目(令和2年度)は、短期間の脱春化処理で花芽の誘導が抑制できる脱春化応答性の高い系統の探索を以下の2つの方法で試みた。なお、脱春化応答性の評価のため、前年度に肥大させた植物体に花芽を誘導できる十分な春化処理(5℃, 150日)の後に,短期間の脱春化処理(30℃, 14日)し、4月下旬に屋外圃場へ定植して、各系統の開花(抽苔)率を測定した。 (1)事前調査で、脱春化処理により抽苔が抑制されやすい「脱春化応答性」が既に高いことが明らかになっている2種類の系統(「NK-195BRmm-O」、「NK-377mm-O」)の脱春化応答性の再現性を調査した。抽苔株は、6月上旬より発生が認められ、脱春化処理を行わない「無処理区」では、7月下旬までにいずれの系統でも95%以上が発生した。一方、脱春化処理を行った「処理区」では、「NK-195BRmm-O」が27%、「NK-377mm-O」が63%となり、「無処理区」よりも有意に低下した。本年度の抽苔株の発生は、令和元年度の事前調査の6%(「NK-377mm-O」)よりも高い値を示したが、抽苔株の形態が、「無処理区」が主茎にまで発達したのに対して、「処理区」の多くが側枝の発生であった。 (2)遺伝的背景が多様な16種類の系統を用い、脱春化応答性の異なる系統を新たに探索した。「脱春化応答性」が高い3系統と低い2系統が新たに予備選抜された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は、新型コロナによる出勤制限があり、材料数がやや不十分であったものの、短期間の脱春化処理で花芽の誘導が抑制できる脱春化応答性の高い系統の探索を概ね計画通り実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、引き続き、短期間の脱春化処理で花芽の誘導が抑制できる脱春化応答性の高い系統の探索を継続する。また、脱春化応答性の高い系統・低い系統が見出された場合、脱春化処理の有無で発現量が変動する遺伝子をトランスクリプトーム (RNA-seq法) 等を利用して網羅的に解析する。
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Causes of Carryover |
本課題では、栄養成長期間が長いほどバイオマス生産性が向上するテンサイについて、「一度獲得した春化を解除する仕組み」を明らかにすることを通じて、従来から用いられてきた種子や苗の代わりに、より生育の進んだ植物体(以下「肥大根」と呼ぶ)を春の段階で定植する新たな栽培方法を検討する。令和2年度は、新型コロナによる出勤制限のため、脱春化応答性について十分な材料数を検定することができなかった。令和3年度以降に、計画通りの研究を推進するために使用する。
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