2023 Fiscal Year Research-status Report
イネの分枝パターン形成と小穂器官形質形成を繋ぐ遺伝的プログラムの解析
Project/Area Number |
20K05986
|
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
永澤 信洋 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (90599268)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永澤 奈美子 (佐藤奈美子) 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (00535289)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 花の発生 / イネ / 分枝 |
Outline of Annual Research Achievements |
lax2-5突然変異体をapo1-2突然変異体と交配して得た2重劣性突然変異体は、鱗被様の器官を多数作り続けた後に雌しべを形成する。そこで小穂形成におけるLAX2の機能を推定するために、マーカー遺伝子の発現をinsitu hybridization法を用いて調べた。C機能を持つOsMADS3遺伝子の発現をapo1-2で調べると野生型より弱く且つ発現開始のタイミングも遅れていると思われたが、同様の発生段階のapo1-2 lax2-5では発現が見られなかった。2重劣性突然変異体ではOsMADS3の発現が著しく弱くなっていると考えられ、LAX2遺伝子の働きとして、C機能の遺伝子発現を促進することが考えられた。また2重劣性突然変異体でSPW1遺伝子の発現は2枚のwhorl(鱗被と雄しべ)にあたる部分で発現し、その後のwhorlにあたる部分で消失し、さらに次の器官で発現した。このことは、2重劣性突然変異体の小穂では花器官形成のパターンが繰り返していることを示唆していると考えられ、LAX2の機能として発生のプログラムの進行を促している可能性が考えられた。結果的にC機能の遺伝子の発現が遅れ、B機能の遺伝子の発現が繰り返されることで、鱗被に近い特徴を示す器官が作られ続けていると考えた。 lax2-5を品種Kasalathに導入すると、fzp様の異常を示すことを見出したが、この現象を再確認するために、WRC(World rice core collection)の中から10品種を選び、新たにlax2-5を導入した。4品種との組み合わせのF2で、fzp様の個体が分離した。農林水産省のデータベースTasukeを調べたところ、FRZ遺伝子の上流5.2KbにあるCNV-18リピートが重複していた。fzp個体の分離の原因がCNV-18である可能性が強まった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概ね予定通りではあるが、形質転換体の作成に問題があり進んでいないため、進捗状況はやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
いくつかの系統や発生段階で insitu hybridizationを行う必要があることと、形質転換体を作成することで、CNV-18の数が2つであることが、LAX2タンパク質が壊れた時にFZPの発現が低下する原因になっていることを示す。今後は物理的にCNV-18と結合するのはLAX2?またはLAX1でありLAX2はそれを助けるのか?またCNV-18と結合しFZPの発現を阻害していると報告されているOsBZRとLAX2の関係は?などを明らかにしていきたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
論文執筆に必要な経費を確保するため。
|