2022 Fiscal Year Research-status Report
スィートソルガムの緑肥利用による作物の高付加価値化栽培システムの構築
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20K05991
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
浅木 直美 茨城大学, 農学部, 准教授 (40571419)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ウコン / スィートソルガム / 作物残渣 / 収量 / 品質 |
Outline of Annual Research Achievements |
緑肥作物として茎に糖を蓄積するスイートソルガム、茎に糖を蓄積しないグレインソルガムを供試し、ソルガムの緑肥利用とカリ施肥量の違いが土壌の化学性と後作ウコンの収量と品質に及ぼす影響を圃場試験によって検討した。 試験の結果、ウコン作付前土壌(作土層)の有効態リン酸、交換性カリウム、カルシウム、マグネシウム濃度について、ソルガム緑肥の利用による影響は認められなかった。しかし、土壌硝酸態窒素濃度は、ソルガム緑肥利用により有意に低下した。また、ウコン作付け前の雑草・緑肥地上部乾物重と土壌の硝酸態窒素濃度との間に有意な負の相関関係が認められた。よって、ウコンの休閑期間に栽培されたソルガム緑肥が窒素養分を吸収し土壌中の硝酸態窒素濃度が低下したと考えられた。ウコンの収量と品質調査の結果、収穫時ウコン根茎収量とクルクミン含有率ともに処理区間に有意差は認められなかったが、グレインソルガム緑肥利用により収量とクルクミン含有率ともに高い傾向であった。また、カリ施肥量が増加すると収量とクルクミン含有率ともに増加した。 以上の結果より、ソルガムの緑肥利用によるウコンの収量・品質向上効果は認められなかった。これは、ウコン休閑期にソルガム緑肥が吸収した窒素養分の土壌における無機化がウコンの生育に合わせて行われなかったことが要因と考えられた。今後は、緑肥由来養分を有効に利用するために、ソルガム緑肥の刈取り・すき込み時期と緑肥残渣からの養分放出時期との関係を明らかにする必要がある。また、土壌の化学性に加えて、土壌の物理性についても調査を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、新型コロナウイルス感染対策などのため実施が遅れていた圃場でのウコン栽培試験を実施した。ソルガム緑肥利用の効果を土壌の化学性とウコンの収量と品質の点から評価することができた。また、ウコンの収量や品質向上におけるカリ施肥の重要性を確認することができた。 圃場試験より必要なデータを得ることができ、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は得られたデータをもとにして、継続して栽培試験を実施する。土壌の化学性に加えて土壌の物理性に及ぼすソルガム緑肥の利用効果についても評価することで、スィートソルガムの利用が土壌と後作ウコンの収量と品質におよぼす影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
今年度はデータ収集に時間を要したことで、予定していた学会発表を行うことができなかった。そのため、次年度使用額が生じた。次年度は、得られたデータをもとに学会発表するために必要な学会参加費や旅費の支払いに充てる予定である。
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