2021 Fiscal Year Research-status Report
雑草アレロケミカルによるダイズのイソフラボン脱修飾を介した根粒着生制御と利用
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20K06000
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
足立 文彦 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 助教 (10335549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城 惣吉 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 助教 (20721898)
秋廣 高志 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 助教 (40508941)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ダイズ / 根粒菌 / アレロパシー / 他感作用 / イソフラボン / 競合 / 混植 |
Outline of Annual Research Achievements |
雑草アレロケミカルがイソフラボンの脱修飾や分配・輸送を介して根粒着生を増加させるのかを明らかにすることを目的として,アレロパシー植物からの距離を変えて隣接栽培したダイズ植物体内のイソフラボン組成・分配と根粒着生を調査した。Xanthium strumarium、Digitaria ciliaris、Amaranthus hybridus、Helianthus annuus、Echinochloa esculentaに加えTagetes erectaを供試し、サンドイッチ法によりアレロパシー強度を比較すると、Tagetes erectaが最も強く、Helianthus annuusが弱かった。また、植物部位により強度は異なり、Helianthus annuusでは花や種子で活性が強く、生育時期によってアレロパシーの影響が変化することが示唆された。アレロパシー植物からの遠近位置を変えて栽培した根粒着生系統フクユタカの生育と根粒着生に及ぼす影響を求めると、アレロパシー植物の近くで競合の影響を強く受けると考えられたが、Helianthus annuus、Xanthium strumarium、Echinochloa esculentaでは近位置で根粒着生数が増加した。一方、Digitaria ciliarisでは、地上部重が減少する傾向にあり、アレロパシーや養水分競合等による抑制が大きく影響し、根粒着生の促進とそれにともなう物質生産の向上効果をマスクすることが考えられた。一方、ダイズ乾燥茎中イソフラボン含量をLCMS/MSにより定量すると、グリコシド、アグリコン、アセチル・マロニル修飾体の順に多く、その量は比例的な関係にあり、ダイゼインが多い傾向にあるものの、アレロパシー植物の影響は条件によって明瞭ではなかった。今後、試料の採取方法と時期を含めて検証を行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染対策による活動制限などのために実験材料の準備が遅れ、当初予定していた内容の70%程度の実施状況となった。また、イソフラボン分析を行うために使用するLCMS/MSの故障により約3ヶ月間分析を行うことができず、分析を開始できたのが想定よりも非常に遅れたためにイソフラボン分析が特に遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
生育促進と競合による生育抑制の同時評価により、競合が大きい、あるいはアレロパシーにより生育が抑制される条件では根粒着生の効果がマスクされ表面的には見えなくなることが確認されたため、供試種の選定と実験条件の設定を再検討する必要がある。一方、ダイズ根粒非着生系統からHelianthus annuusでは根粒着生による生育促進以外の成長促進の可能性が確認されたため、Tagetes erectaなどの他のキク科植物を供試し、根粒菌に直接的に働きかけるのか、あるいは菌根菌などの他要因の影響かなどの生育促進の仕組みを明らかにする必要がある。イソフラボン分析では、乾燥茎から試料液を抽出しているが、植物部位や時期、採取方法など、根粒着生への影響を最も評価できる方法を早期に検討する必要がある。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染対策等により実験が時間的に遅延したことに加え実験量も不足しており、イソフラボン分析に使用するLCMS/MSの故障によって分析が想定よりも非常に遅れて、遺伝子解析などの次のステップに進めていない状況であり、そのために研究費の使用が想定よりも減少したため
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