2020 Fiscal Year Research-status Report
Studies on the mechanism controlling the sugar metabolism in sweet potato storage roots
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20K06002
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
坂本 知昭 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (00345183)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | サツマイモ / 貯蔵 / 遊離糖含量 / Iso-Seq |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度に石川県立大学付属農場で栽培した 「高系14号」、「ベニアズマ」、「兼六」 の3品種の塊根を、8℃、11℃、14℃の3条件で貯蔵した。貯蔵開始0週後のほか、8℃は貯蔵6週後まで2週毎に3回、11℃は貯蔵10週後まで5回、14℃は貯蔵12週後まで6回、各回とも各品種5本ずつ用いてRNA抽出および遊離糖含量の分析を行った。 各温度区における各遊離糖含量の増減は品種により異なった。フルクトースとグルコースはよく似た傾向を示し、「兼六」 はいずれの温度区でも貯蔵開始後増加したが、「ベニアズマ」 はほとんど増加せず、「高系14号」 は11℃区と14℃区で増加した。スクロース含量は3品種とも8℃区と11℃区で増加したが、14℃区ではほとんど増加しなかった。マルトース含量は3品種ともいずれの温度区でも減少したが、「兼六」 の含量は常に他2品種より高かった。 本研究では貯蔵中のサツマイモ塊根における発現変動遺伝子をIllumina RNA-Sequencing (RNA-Seq) 法で解析する予定である。しかしサツマイモの栽培種にはRNA-Seq行うために必要なレファレンスゲノムがないため、PacBio isoform sequencing (Iso-Seq) 法を用いたde novoアセンブリにより 「兼六」 の転写産物データベースを構築した。得られた転写産物データベースを評価するため、スクロース合成の律速酵素であるスクロースリン酸合成酵素 (Sucrose-phosphate synthase) の候補遺伝子を相同性検索により単離した。得られた2つの候補遺伝子はそれぞれSPS1が約3.4kb、SPS2が約3.8kbで、全長配列が得られたと判断した。さらにそれらの塩基配列を用いて特異的なプライパーセットを構築し、定量的PCRによる発現量解析が可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は11月から1月末にかけて塊根の貯蔵試験を行うため、年末までにIso-Seq用のRNAを確保し、年度末までにIso-Seqを完了させることを最優先とした。次に全処理区の遊離糖含量の分析を年度末までに終わらせることを優先し、全処理区のRNA抽出はできる限り進め、終わらなければ来年度に持ち越すことも考えていた。実際にはこれら全てを年度内に完了させることができたので、計画通り進捗していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度はまず2020年度に抽出したRNAサンプルを用いてRNA-Seqを行う。明らかになった発現変動遺伝子の中から、塊根内の糖含量変化に関係していると考えられる糖代謝関連酵素遺伝子をスクリーニングし、定量的PCRにより遺伝子発現消長を確認する。遺伝子発現量の増減と塊根内の当該酵素活性の消長 (in vivo活性) を比較するなどし、糖代謝の鍵となる酵素遺伝子を絞り込む。
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