2022 Fiscal Year Annual Research Report
大豆の単収増加と良食味米の安定生産の両立を目指したN吸収量が増えにくいイネの探索
Project/Area Number |
20K06009
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
鮫島 啓彰 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, 上級研究員 (50580073)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 水稲 / ダイズ / 田畑輪換 / 窒素吸収 / 地力窒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
水稲ー大豆の田畑輪換体系において、大豆の単収増加を目指して地力窒素を上げると、復元田で栽培する水稲の窒素吸収が増えるため食味が低下しやすい。本研究では、地力窒素の増加に伴う窒素吸収量や窒素濃度の増加が少ないイネの探索を目指す。 最終年度は、地力窒素の増加を模するため窒素成分の溶出が緩やかな緩効性肥料を用いて、小型インキュベータ内で世界のイネ・コアコレクションに含まれる品種のうち48品種の評価を実施した。昨年度評価した7品種も含めた55品種のうち54品種では、窒素施肥量が2倍、3倍になると窒素吸収量も増加した(増加率はそれぞれ54品種の平均値で126%および187%)。唯一、WRC63(品種名:Bleiyo、原産地:タイ、在来水稲、もち、indica)のみが、窒素施肥量を2倍、3倍にしたとき、窒素吸収量がそれぞれ標準施肥量の場合と比較して18%および25%低下した。また、地上部乾物重はそれぞれ44%および54%低下し、総根長はそれぞれ70%および83%減少した。窒素施肥量の増加とともに地上部乾物重が減少した品種はWRC63の他に8品種存在し、3品種の例外(WRC29,30,66)を除いて窒素施肥量が増加すると根長が減少した。しかし、WRC63以外の品種では、窒素施肥量の増加とともに窒素吸収量が下がる例は見当たらなかった。したがって、WRC63は土壌からの窒素供給量の増加に対して他の品種とは大きく異なる反応を示す品種であると考えられた。ただし、評価した全ての品種で、窒素施肥量の増加とともに窒素濃度は増加した。 初年度は、多窒素条件で栽培した際の葉面積や光合成の増加速度が小さい品種「千葉旭」とそれらが大きく増加する品種「キヨスミ」の比較や、野生型の「台中65号」より側根数が少ないOsiaa13変異体を比較したが、いずれも窒素施肥量の増加とともに窒素吸収量は大きく増加した。
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