2022 Fiscal Year Annual Research Report
植物工場でのパッションフルーツ果実の周年・多収生産に関する基礎的研究
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20K06012
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大川 克哉 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 講師 (00312934)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | パッションフルーツ / 葉果比 / 着果 / 無機成分吸収特性 / 炭酸ガス / 光合成 / 根圏環境 / 新梢冷却 |
Outline of Annual Research Achievements |
パッションフルーツ果実を周年的に生産するためには周年安定的に開花させることが不可欠であるが,新梢生育中に花蕾の発育が途中で停止し,黄変落下することも良くみられる.この現象には着果の有無が強く影響し,新梢基部節に着果した果実群が光合成産物や無機成分の強いシンクとなるため,新梢先端部での花芽分化やその後の花蕾発育に必要な光合成産物や無機成分の不足し,異常花の発生や花蕾発育の停止を誘導するものと考えられた.一方,葉果比の違いは果実重に大きく影響し,大果生産のための適正葉果比は9程度であるが,果実収量は葉果比6程度のほうが多くなることが明らかとなった.これらの結果をもとに,さらに葉の光合成速度を高めることを目的に冬季の栽培における温室内と人工光閉鎖型環境下での高炭酸ガス環境条件で栽培を行ったところ,温室内では果実重が増加し,人工光閉鎖型環境下では着果数が増加することが明らかとなった.周年果実生産を行うために,4月,7月および9月の3時期に苗を定植して栽培を行ったところ,7月定植では8~9月の高温期に一時的な新梢伸長停止期が認められた.この要因を明らかにするために根圏中の温度を26℃および31℃として挿し木を行ったところ,31℃では根の発育が著しく劣るとともに無機成分吸収量が少なくなった.そこで,7月に定植し,根圏の温度を26℃程度に冷却したところ,新梢生育は極めて旺盛となった.このことから,夏季に定植した場合に発生する新梢生育の不良は根圏温度の上昇による根の発育不良や無機成分吸収量の低下が原因であることが明らかとなった.しかし,根圏温度を低くしても,花芽分化数は増加しなかった.そこで,夏季での定植後に根域の冷却にプラスして新梢先端へのミスト散布を行い,気化熱による新梢の冷却処理を試みた.その結果,新梢表面の温度は約4℃低下し,開花数および着果数が増加した.
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