タマネギ極早生品種内で見出された新規りん茎肥大特性の解明

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 20K06023
• Research Institution: National Agriculture and Food Research Organization
• Principal Investigator: 塚崎 光 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター, グループ長 (30355622)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 奥 聡史 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター, 研究員 (20849161) ; 関根 大輔 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門, 研究員 (80823236)
• Project Period (FY): 2020-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: タマネギ / 肥大

Outline of Annual Research Achievements

タマネギのりん茎肥大には、古くから日長が関与していることが知られており、特に日長に関しては、品種（群）によって肥大の引き金となる日長時間が異なり、それが早晩性に関わっていると考えられている。しかし、国内外の200を超える遺伝資源・品種の中には、4月中旬の定植後すぐに肥大を開始する「早期肥大群」（倒伏迄出葉数3枚程度）と、定植後通常に生育して肥大する「通常肥大群」（出葉数7枚程度）が、品種内で混在することを見出した。そこで、「早期肥大群」と「通常肥大群」を分離・育成して、両者のF2等を用いた遺伝解析により、早期肥大に関わるゲノム領域を明らかにすることを目的とした。
盛岡での春まき作型において、肥大特性が分離する秋まき極早生品種‘センチュリー2号’（230個体）を、雨よけ露地圃場で栽培し、継時的に生育調査を行った。予備試験と同様に、4月中旬の定植直後に肥大を開始した個体（早期肥大群）と通常に生育・肥大する通常肥大群が混在することを確認した。約半分（56％）の個体が5月中に倒伏する早期肥大群と判定されたのに対して、約1割（13％）が6月中旬以降に倒伏する通常肥大群と判定された。昨年度選抜した、早期肥大群個体と通常肥大群個体との間でF1を採種するとともに、通常肥大群については集団採種により後代を得た。F1については、自殖によりF2種子を得るために栽培中である。また、F1親（各群2個体ずつ）の葉身をサンプリングし、RNAseqを行い約5千万のクリーンリードを取得した。さらに、‘センチュリー2号’（早期肥大個体）’と春まき品種の交雑F2の自殖種子も得た。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

各群の後代育成にやや遅れが生じているが、両群間のF1を育成し栽培できていることから概ね順調に進捗している。

Strategy for Future Research Activity

両群間のF1個体の自殖種子を得るとともに、インキュベーター試験等により肥大期前後のAcFT等の遺伝子発現量を比較する。また、昨年度取得したRNAseqデータの解析から、F2集団で多型解析可能なマーカーセットを構築する。

Causes of Carryover

COVID-19の影響により出張できなかったことが主な理由である。次年度使用額については、出張等の旅費に用いるとともに、遺伝解析・発現解析のために使用する。