2021 Fiscal Year Research-status Report
キクタニギクの自然開花期を決定する要因の遺伝学的解明
Project/Area Number |
20K06024
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
住友 克彦 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門, 上級研究員 (70391406)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | QTL mapping / flowering time / chrysanthemum |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は,キクタニギクF2集団を用いた自然開花期,高温開花性,長日(13時間日長)開花性,短日応答性の調査およびQTL解析の反復を行った. 自然開花期の主要なQTLは第2(旧5),第4(旧7)および6(旧9)連鎖群に検出された.今年度,染色体情報にあわせて連鎖群番号を変更したが,昨年と同じ連鎖群である.第2連鎖群のQTLは長日開花性および短日応答性のQTLと一致した.第4連鎖群のQTLは短日応答性および高温開花性のQTLと一致した.第6連鎖群のQTLは長日開花性および短日応答性のQTLと一致した.キクタニギクの自然開花期のQTLが高温開花性,長日開花性,短日応答性のQTLによって構成されていることは,キクタニギクの自然開花期を決める要因として,これらが強く関与することを示している. 各QTLにおいてピーク近傍のマーカーの遺伝子型と形質の関係を調査した.第2および4連鎖群のQTLにおいては,マーカー遺伝子型ごとに開花までの日数を分けたところ,早生親型ホモ=ヘテロ<晩生親型ホモとなり,早生親型が優性であった.第6連鎖群のQTLにおいては,早生親型ホモ<ヘテロ<晩生親型ホモとなり,ヘテロ個体では中間的な表現型であった. 令和3年度にキクタニギク標準系統の染色体情報が明らかにされた(Nakano et al., 2021).第2,4,6連鎖群のQTLは,それぞれ染色体上では,第2染色体の59-247Mbps,第4染色体の36-283Mbps,第6染色体の2-41Mbpsに対応した.現在,各染色体領域に含まれる遺伝子配列を抽出し,アノテーション解析によって花成関連遺伝子を探索しているところである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
形質調査およびQTL解析の年次反復を確認し,2カ年において同じQTLが検出されたので,開花期および開花特性の遺伝学的解析は順調に実施できていると考えている.また,染色体情報を利用できるようになり,QTLと対応する染色体領域に含まれる開花関連遺伝子を探索することによって,原因遺伝子の候補を発見できると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
F2集団の個体数を400個体程度に増やし,形質評価を行う.さらに親の純系系統「SoS4-4」のゲノムシーケンスを行い,取得済みの「XMRS10」のゲノム配列と比較して多型を抽出し,連鎖地図上の候補領域に高密度にマーカーを設計する.これらによって遺伝領域を絞り込み,染色体の配列情報とあわせて,開花期の決定に関与する遺伝子候補を見いだす計画である.また,見いだした遺伝子の発現解析を実施し,候補遺伝子を絞り込む計画である.
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Causes of Carryover |
令和2年度および3年度は,新型コロナ対応のため契約職員の出勤自粛期間があった.そのため,2カ年の人件費の累計が計画と比較して低くなり,次年度使用額が生じた.今年度は,高精度な遺伝解析を実施するために,実験集団の個体数を増やすことから,それに伴って増加する人件費として使用する計画である.さらには,染色体上で開花期関連遺伝子の候補を同定した後,次年度使用額を支出して遺伝子発現解析実験を追加で実施し,開花を決定する遺伝子を絞り込む計画である.
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