2021 Fiscal Year Research-status Report
Anaylses of the wine grape quality in the growing site and their acclimatization mechamisms to the environments
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20K06027
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Research Institution | National Research Institute of Brewing |
Principal Investigator |
小山 和哉 独立行政法人酒類総合研究所, 研究部門, 主任研究員 (30416424)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 環境応答 / 二次代謝 / 香気成分 / エピジェネティック解析 / 遺伝子発現解析 / 気象 / ブドウ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、栽培地の気象条件含む栽培環境が醸造用ブドウの品質成分に及ぼす影響を明らかとするため、二次代謝産物を中心とした成分組成解析、遺伝子発現解析、及びエピジェネティック解析を実施し、現象面のみならずそのメカニズム(環境適応機構)の解明を目指している。 はじめに、昨年度に引き続き、北海道から九州まで全国の気象条件の異なる同一ワイナリー圃場より成熟期のソーヴィニヨンブラン果実をサンプリングし、一般成分、フェノール化合物及び香気成分(前駆体)を網羅的に測定したところ、冷涼な地域と温暖な地域でその組成に差がみられることがわかった。各圃場に設置した気象観測装置で取得された気象データ等を用いて、地域に特徴的な成分の蓄積との関連をOPLS回帰解析によって調べたところ、成熟開始後1か月、2か月の平均気温などの項目との相関が高く、影響の大きい環境条件が抽出できた。 また、環境・栽培要因がDNAのメチル化へ及ぼす影響について解析するため、メチル化部位特異的な制限酵素にて切断したDNAバンドパターンを解析するMSD-AFLP法について検討を行い、ブドウにおける解析において適切な検出バンド数が得られた制限酵素を決定した。さらに、萌芽期のブドウ葉より採取したDNAのメチル化パターンを解析したところ、栽培処理による変動が観察された。従って、確立された方法によって、種々の環境・栽培要因の影響の判別が可能か詳細を検討する必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
栽培地のブドウ成分の解析を2ヶ年にわたり実施し、データを蓄積するとともに、影響する環境要因解析を行い、影響の大きい要因の抽出ができた点は順調に推移していると考えられる。一方で、ブドウにおけるDNAのメチル化解析方法の設定に時間を要し、遺伝子解析面からの進捗はやや遅れていると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
各栽培地におけるブドウ果実の解析を引き続き実施し、データを蓄積するとともに、環境要因解析により新たな要因の抽出が可能か検討を行う。また、確立されたMSD-AFLP法によって、二次代謝成分等に違いのみられた各栽培地のブドウや栽培処理(水分ストレス処理等)を行ったブドウにおいて、DNAメチル化の違いを検出できるか検討を行う。
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Causes of Carryover |
物品費について、所属する研究室に在庫している物品を使用することが可能であったため、次年度使用額が生じた。来年度、人件費の割合を増やすなどにより、研究の進捗を更に進める計画としている。
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