2022 Fiscal Year Research-status Report
人為誘発非還元性雄性配偶子を活用した倍数性多様化法の開発
Project/Area Number |
20K06035
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
平野 智也 宮崎大学, 農学部, 准教授 (80455584)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 重複受精 / 胚発生 / 重イオンビーム / 雄性配偶子 / 花粉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に引き続き炭素イオンビーム40 Gyまたはアルゴンイオンビーム10 Gyを照射した花粉を授粉させ、14日後の胚珠を子房内から無菌的に摘出し、胚珠培養を行うことで胚乳由来のカルス誘導および植物体再生を試みた。培地には、オーキシンとしてピクロラム、サイトカイニンとしてベンジルアミノプリンをそれぞれ単独または組み合わせて添加した。カルス化やシュート形成が見られたものにおいて、フローサイトメトリー分析による倍数性の確認を行った。その結果、炭素イオンビーム照射由来の花粉を授粉した胚珠において3倍体のカルスが形成されていることが確認された。胚乳培養により3倍体カルスが誘導されたことが報告されていることから、胚乳由来のカルスであると推測される。現在までに異常胚乳に由来するような異数性のカルス等は見られていないが、供試サンプル数が十分とは言えないため、さらに多くの胚珠を培養し倍数性の確認を行う必要がある。 炭素イオンビーム40 Gyまたはアルゴンイオンビーム10 Gyを照射した花粉を授粉した場合には、胚珠の肥大率が低下することから未受精の胚珠が増加していることが示された。線量を炭素イオンビーム20 Gyアルゴンイオンビーム5 Gy照射花粉を用いた結果、胚珠の肥大率が増加した。さらに、オーキシンとして2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、サイトカイニンとしてチジアズロンを加えて培地に添加する植物成長調節物質の種類および濃度を検討することで、胚または胚乳由来のカルス形成を促進することを試みた。植物成長調節物質の組み合わせにより形成されるカルスの形状等に違いが見られている。培養を継続し、倍数性の確認を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度実施した胚珠培養では、カルス誘導に成功し倍数性の調査が可能な段階まで計画を推進することができたが、より効率的な培地条件の検討のために多くの試験区の設定が必要になった。また、十分な反復数を確保するためにも、研究期間延長し評価を行うこととした。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は令和4年度に計画していた研究計画に沿って各種実験を実施する。胚珠培養を継続し、倍数性の調査およびカルスからの植物体再生を試みる。受精および胚発生に必須な雄性配偶子側の因子における遺伝子発現量を解析することで、雄原細胞様精細胞における受精能の有無を評価する。これらに加えて、胚嚢内の細胞骨格から巨大胚乳核形成過程や胚珠培養による胚や胚乳の発達過程の詳細を明らかにする
|
Causes of Carryover |
組織培養実験に注力したことから分子生物学関連試薬およびキット類の購入が当初の予定より少なくなった。また、研究の一部遅延に伴い成果発表が当初の計画より減少したことから次年度使用額が生じた。 研究期間の延長を行い、次年度は令和4年度の計画に沿った研究を実施する予定としている。それに伴い、次年度使用額は当初の令和4年度研究経費に沿って使用する。
|
Research Products
(2 results)