2023 Fiscal Year Annual Research Report
人為誘発非還元性雄性配偶子を活用した倍数性多様化法の開発
Project/Area Number |
20K06035
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
平野 智也 宮崎大学, 農学部, 准教授 (80455584)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 重複受精 / 胚発生 / 重イオンビーム / 雄性配偶子 / 花粉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、放射線の一種である重イオンビームをヒガンバナ科キルタンサスの二細胞性花粉に照射することで誘導された非還元性雄性配偶子を授粉することで得られる特徴的な胚や胚乳を品種改良に利用することを目的として、授粉後に得られる胚珠を培養することで植物体再生を試みた。本年度は、前年度に引き続き炭素イオンビーム20 Gyまたはアルゴンイオンビーム5 Gyを照射した花粉を授粉させ、14日後の胚珠を子房から無菌的に摘出し、胚珠培養を行うことで胚乳由来のカルス誘導および植物体再生を調査した。培地には、オーキシンとしてピクロラムと2,4-D、サイトカイニンとしてベンジルアミノプリンとチジアズロンを用いて、それぞれ単独または組み合わせて添加した。未照射花粉では、ベンジルアミノプリンとピクロラムの組み合わせが最も高いカルス形成率およびシュート形成率を示し、その後植物体が得られた。従って、キルタンサスの発達初期の胚珠培養による植物体再生が可能であることが明らかになった。炭素イオンビームおよびアルゴンイオンビームの吸収線量を低下させて照射した花粉を授粉することで得られた胚珠を培養することでカルス形成およびシュート形成が確認された。また、培地条件により性状の異なるカルスが確認された。それらのカルスまたはシュートにおいて倍数性調査を行ったが、現在までに異常胚乳に由来するような異数性のカルス等は見られていない。吸収線量をさらに低下させることで、カルスの増殖や植物体の再生を促進することが可能であると考えられるが、吸収線量が低すぎると変異誘発効果が弱くなり異数性の細胞が見られなくなる。そのため、変異が誘発される範囲内で、さらなる条件検討を行う必要がある。
|
Research Products
(4 results)