2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K06037
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
窪田 聡 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (60328705)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 根域温度 / 生育制御 / トマト |
Outline of Annual Research Achievements |
本年はトマトの生育に及ぼす地上部の気温と根域温度の相互関係について検討した。品種は‘ハウス桃太郎’を用いた.培養土を充填した3.5号ビニル鉢にトマトの種子を2粒ずつ播種し,培養土の上面を完全に覆うように直径5mmの穴が中央部に開いている断熱用円形発泡スチロールをはめ込んだ.人工気象室で気温22℃,根域温度22℃で発芽させた.第3本葉展開直後に処理を開始した.処理期間はすべての実験で8日間とし,日長はLED照明で16時間とした.実験規模は1区3反復とし1反復あたり5株または7株を用いた.実験区は気温/根域温度を22℃/27℃と22℃/17℃(実験1),27℃/22℃と17℃/22℃(実験2),27℃/17℃と24℃/20℃(実験3),17℃/27℃と20℃/24℃(実験4)とし各実験には必ず22℃/22℃を設けた. 結果は22℃/22℃の数値を100とした時の相対値で示した.実験1と実験2から,葉面積は気温と根域温度の影響を強く受け,27℃では促進,17℃では抑制された.実験3では気温と根域温度のどちらか一方が17℃の場合,もう一方が27℃になっても葉面積が回復することはなかった.実験4ではいずれの区も22℃/22℃と大きな差はなかった.葉数は気温が17℃の場合に減少する傾向が見られた.葉数は気温が17℃では22℃/22℃に比べて20-30%減少したが,根域温度の影響は顕著ではなかった.草丈は22℃/22℃に比べて気温が最も高い27℃/22℃と27℃/17℃では30-40%増加し,気温が最も低い17℃/22℃と17℃/27℃では20-30%減少した.根域温度が17℃に低下しても草丈に及ぼす影響は小さかった.根域温度は葉面積に強く影響することが明らかとなり,気温と根域温度を組み合わせて制御することによりトマト苗の形態形成を調節できることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は新型コロナウィルスの影響により、大学への登校が断続的に制限されたことと、感染疑い者の発生に伴い研究室閉鎖などがあり、当初実験予定であった吸水速度の評価方法の開発、RNA-seqおよび植物ホルモン分析用の植物サンプルの育成が十分に行えず進捗がやや遅れたものである。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究目的を達成するため、根系の吸水能力の評価方法の開発、トマト苗の根と葉におけるRNA-Seq解析、根の植物ホルモン合成に対する根域温度の影響評価を同時並行的に行うこととする。
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Causes of Carryover |
2020年度はコロナウィルスの感染拡大により、2回の緊急事態宣言が発令され、研究室への入室が断続的に制限されたため、当年度に予定していた実験が十分に遂行できなかった。そのため、当年度に使用する予定であった予算に余剰が生じたものである。 2021年度の実験は昨年度実施予定であった実験をあわせて実施することから、当年度までの配分予算をRNA-seq解析、植物ホルモン分析等に対してすべて利用予定である。
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