2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K06037
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
窪田 聡 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (60328705)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 根域温度 / 生育制御 / トマト |
Outline of Annual Research Achievements |
根長計測のため、昨年度まで画像解析ソフトウェア(Image J(FIJI))にプラグインとして導入するSmartRootを利用して解析を行ってきたが、1つの植物の根長を解析するには数十枚の画像を撮影し、ほぼマニュアルで根をトレースする必要があり、研究の進捗に支障が出ていた。そこで、Kimura et al. (1999)の理論を基礎にして、Python 3を用いて専用ソフトウェアを開発した。この既知の長さの様々な形の針金を計測したところ、実際の長さの5%以内の誤差で計測でき、1枚の画像解析時間は1秒程度で根長の測定時間が大幅に短縮できた。このソフトウェアは「https://www.nrecs.jp/top/根長の評価プログラム」に公開した。 根の吸水能力については根長の計測とともに、茎断面を異なる圧力で吸引し、単位根長あたりの吸水速度を測定する必要がある。そのため、昨年度から本年度にかけて茎断面に一定の水ポテンシャルを持った溶液を接触させて、茎断面から浸出してくる溶液を採取する方法を様々試みていたが、茎断面と溶液の接触面からの液漏れなどの問題が解決できなかった。 地上部の気温と根域温度が地上部の生育に及ぼす影響については、気温と根域温度をそれぞれ17℃、20℃、22℃、24℃、27℃の5段階に設定し、25通りの組合せ実験を実施中であり、本年度は8通りの組合せについて実験を行い、昨年度も合わせ全体で17通りの実験が終了した。その結果、葉面積の拡大に対する根域温度の効果は気温が22から24℃の間で顕著に表れ、この気温範囲において根域温度を17から27℃に変化させることにより、葉面積の制御が可能であった。草丈はもっぱら気温の影響を受けることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度と同様、本年度もコロナウィルス感染拡大の影響が出ており、特に本研究を一部担当していた大学院生がコロナウィルスに感染し、一時的に実験を中断をしなければならなかった影響が大きい。また、茎切断面に異なる水ポテンシャルの溶液を接触させて、根から吸水量を計測する実験では、液漏れ等を十分に抑えることが出来ず、再現性のあるデータがとれていない。
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Strategy for Future Research Activity |
異なる水ポテンシャルにおける根の吸水能力の評価については、当初の実験計画を見直し、葉の水ポテンシャルを測定するプレッシャーチャンバーを流用して、計測することを試みる。具体的には、チャンバー内に断熱容器に入った一定温度の養液を入れ、その養液に茎を切断した根系を浸し、根系に一定圧力を窒素ガスを使ってかける。茎切断面から浸出した液を測定して、根の吸水能力を明らかにする。また、浸出液中の植物ホルモン濃度等を計測する。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの感染拡大の影響によるものと、特に一部の実験担当の大学院生がコロナウィルスに感染し、一時的に実験を中断したためである。これらの助成金に関しては主にRNA-seq解析および植物ホルモンの分析等の費用として使用する予定である。
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