2020 Fiscal Year Research-status Report
Identification of novel resistance gene in Brassica plants and application for plant breeding.
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20K06055
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
高原 浩之 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (30397898)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アブラナ科野菜類 / 炭疽病 / 抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
アブラナ科炭疽病菌は、農業上重要な品目を多く含むアブラナ科野菜に特異的に感染し、炭疽病を引き起こす病原糸状菌である。炭疽病に対する病害抵抗性の賦与は、本病害のまん延防止策の点からも重要な課題である。本研究では、アブラナ科炭疽病の抵抗性品種を新規に同定し、これらがどのように病原菌に対して抵抗性を発揮するのかを明らかにすることで、炭疽病菌の病原性進化およびアブラナ科野菜類の抵抗性進化について学術的な知見を得る。さらに品種が持つ抵抗性遺伝子(座)を同定し、炭疽病抵抗性育種に応用することを目的とする。 申請者は、これまでに世界各国から分離されたBrassica rapa 在来品種からアブラナ科炭疽病の抵抗性品種を複数同定してきた。そこで本年度は、選抜した抵抗性候補品種における抵抗性の詳細を解明するために、主に2つのことを行った。 1)抵抗性・感受性品種に対する炭疽病菌の感染動態を調べるために、接種後の植物細胞への侵入の様子を細胞レベルで観察をした。その結果、炭疽病菌の侵入率が抵抗性品種では顕著に低下すること、また侵入を許した場合でもその後の侵入菌糸の伸展が抑制されていることが明らかとなった。 2)B. rapa における炭疽病抵抗性遺伝子座は特定されていない。そこで、炭疽病に対する抵抗性・感受性品種の交配F1を作出し接種試験を試みたところ、抵抗性が優位に表れたが、いくつか感染性を示す個体も存在していた。そこで、F1で抵抗性を示した個体を自殖したF2集団約100個体に対する炭疽病の病徴を調べたところ、再度表現型の分離を示した。このことから予測される炭疽病抵抗性遺伝子座は複数あるのではないかと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた研究が行われ、解析できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
炭疽病抵抗性遺伝子領域を特定するための研究を行う。F2集団で抵抗性と感受性の表現型を示した個体をバルクしたQTL-Seq解析を行う。さらに抵抗性遺伝子領域を絞り込むためにDNAマーカーを作出し、表現型と連関する染色体領域を特定する。 アブラナ科野菜類に対する炭疽病菌の感染戦略を明らかにするために、エフェクターを中心とした遺伝子の発現解析やタンパク質の発現の差異を調べる。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響で国内・国外出張の取りやめ、アルバイト人員の自粛等で、使用額が予定額を下回った。繰り越し金額は、翌年度分と合わせて、論文投稿にかかる費用や、研究の一部外部委託等に利用する。
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