2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K06056
|
Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
薦田 優香 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (90716482)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 健二 北海道大学, 農学研究院, 講師 (90315606)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ダイズ矮化ウイルス / 遺伝子発現 / エンドウ / プロトプラスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、北日本のダイズ圃場に慢性的に発生するダイズ矮化病の原因とされる、ダイズ矮化ウイルス(Soybean dwarf virus, SbDV)の増殖機構の解明を目指している。SbDVのサブゲノムRNAからは少なくとも、ORF3a、ORF3、ORF4、ORF5の4遺伝子が発現すると考えられている。昨年度までに、各遺伝子下流にルシフェラーゼ遺伝子を付加したSbDVを構築し、各遺伝子の発現量を一細胞レベルで比較できる実験系を構築した。 本年度は、SbDVのORF3とORF4の発現に、翻訳因子eIF4Eが関与するかについて解析を行った。eIF4Eに変異をもつエンドウおよび野生型エンドウから葉肉プロトプラストを単離し、SbDV-ORF3-LUCまたはSbDV-ORF4-LUCをトランスフェクションにより導入した。トランスフェクション後2日間培養することでウイルスを十分に増殖させ、ルシフェラーゼ活性(すなわちORF3またはORF4発現量)を、野生型エンドウとeIF4E変異エンドウとで比較した。その結果、eIF4E変異エンドウ細胞内では、ORF3およびORF4発現量がいずれも有意に低下していることが明らかとなり、eIF4EがSbDVの遺伝子発現に関わる宿主因子である可能性が示唆された。eIF4EはmRNAのキャップに結合し翻訳を促進する因子であるが、SbDVのRNAゲノムおよびサブゲノムはキャップ構造をもたないとされる。キャップ非依存的に遺伝子を発現させるはずのSbDVがeIF4Eをどのように利用するかについて、今後解析を進める予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までの遅れを取り戻すほどではないものの、本年度はSbDVの増殖に関わる宿主因子候補を見出せたことから、おおむね順調と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)eIF4EとSbDV遺伝子発現とのかかわりについて、異なる試験を用いて検証する 2)RNA合成キットの販売停止によりSbDVの機械接種試験が中断していることから、別の手法を用いる等により、SbDVの逆遺伝学的解析の道筋を立てる
|
Causes of Carryover |
前年度までの研究の遅れ(RNA合成試薬の販売停止による代替品の検討などによる)を今年度取り戻すことができなかったため、次年度使用額が生じた。使用計画としては、RNA合成試薬の検討を引き続き行う一方で、合成RNA接種法に代わる逆遺伝学的解析の手法の模索を行う。
|