2021 Fiscal Year Research-status Report
植物の免疫応答を活性化するナミハダニ由来HAMPの受容機構の解明
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20K06058
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
出崎 能丈 東京理科大学, 先進工学部生命システム工学科, 助教 (80711647)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | HAMP / エリシター / 植物免疫 / ナミハダニ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では我々が同定したナミハダニ由来のHAMPであり、植物に防御応答を誘導するテトラニン(Tet2)の受容体ならびにシグナル伝達活性化機構を明らかとすることを目的としている。 まず、昨年度から進めていた、Tet2の活性エピトープの同定へ向けた取り組み(インゲンマメにアグロインフィルトレーションを用いた手法によって候補を発現させ、ナミハダニの致死率を基に行った解析)を継続した。しかし、途中で昨年度の再現が得られなくなり、再度、慎重に解析を行った。その結果、分割発現させたTet2の活性はないものと示唆された。このことから、Tet2分子の機能もしくは、立体構造がエリシター活性にに寄与すると考えられた。これはこれまでの微生物のタンパク質型のエリシターとは異なるものであった。 またTet2受容体候補の解析に関しては、リソースから新たに取り寄せた変異体を用いて、4候補に対して2変異体ずつで解析をTet2に対する応答解析を行った結果、候補を1つに絞り込みつつある。また、この候補遺伝子の過剰発現体の作出は順調に進展している。 昨年度の方策に、既報のTet1およびTet2だけでナミハダニに対する防御応答を完全に模倣できないことから、新規のエリシターの同定を盛り込んだ。結果、唾液腺から分泌されているタンパク質の遺伝子を20個ほどクローニング、インゲンマメ発現系におけるナミハダニの致死率評価から、2つの分子を新たなエリシターとして見出すことができた。これらは大腸菌で調製した分子でも活性を保持し、既存の2つのエリシターとは部分的に異なる活性を示すことが明らかとなりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
活性エピトープの解析に関して、やり直しを行った為、予定より遅れが生じている。 受容体の解析に関しては、順調に準備を進めており最終年度での結論が得ることができると期待している。 一方で、ナミハダニとエリシターの関係性を明らかとするために、新規のエリシター2つを見出した。このことは、今後の解析を加速すると期待させる。
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Strategy for Future Research Activity |
Tet2の活性エピトープに関しては期待と異なりペプチドが機能するのではなく、分子全体で活性を持つと考えられる。受容体の同定が完了すれば、立体構造モデルなどを踏まえて、詳細な解析を進めていく。 受容体候補に関しては、得られる過剰発現体における応答を解析し、明確化する。その上で、変異体および過剰発現体を用いて、どのような防御応答に機能するかについて解析をする予定である。 新規に同定した2つのテトラニンは、既知のTet1およびTet2とは異なる活性を持つことが示されてきている。シロイヌナズナにおける4つのエリシターの比較機能解析に加えて、他の作物種間での応答性の違いなどを調べ、ナミハダニと植物の相互作用について検討を進めたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍における生産・輸送の停滞から一部の発注した試薬が翌年度の納品となった為、これに関しは年度初めに計上予定。また、予定していた学会出張がオンラインとなり、差額が生じたが、今年度は成果発表の為積極的に学会発表を行う予定であり、相殺される見込み。
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Research Products
(3 results)