2020 Fiscal Year Research-status Report
Construction of screening system for novel phytonematode control agents acting at biogenic amine receptors
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20K06060
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Research Institution | Shokei University |
Principal Investigator |
光増 可奈子 尚絅大学, 生活科学部, 助教 (00711839)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生体アミン受容体 / 同定 / 機能解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)の生体アミン受容体(BARs)候補配列について、ショウジョウバエやC. elegansのBARsの情報を基に系統解析を行い、機能を予測した。既に公開されているゲノム配列情報から絞り込んだ、短い断片を含む12種類の生体アミン受容体の候補配列について解析した。これまでの系統解析の結果として、ドーパミン受容体(DAR)4種類、チラミン受容体(TAR)1種類、オクトパミン(OAR)受容体1種類、セロトニン受容体(5-HTR)1種類、分類できない5種類となった。 解析の主な標的であるTAR及びOARと予測された合計2種類の配列のうち、全長cdsが判明しているのはTARと予測されるMinc02540であった。そこで、この全長cdsを合成して発現ベクターを作製し、培養細胞を用いた薬理機能の解析に用いた。OARと予測される部分配列は全長取得を進めているところである。 Minc02540の予備的な機能解析の結果では、非常に微弱ながらTA濃度依存的な応答がみられた。しかし、シグナル強度が極めて低いため、一過的な発現細胞を用いた条件ではこれ以上の解析は進められなかった。そこで、安定発現株を作製して同様の解析を行ったが、やはり安定した結果は得られなかった。現在このTARに関しては、さらに高感度で安定したシグナルを得るために、レポーターアッセイ系の改良及び調整等を進めている。 M. incognita個体を用いた行動解析に関して予備的な実験を行い、各種リガンド依存的な行動変化について、基準となるパラメーターを設定し詳細な解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ゲノム情報から全長cdsの取得ができなかった配列について、全長を得るのに時間がかかっており、当初の計画より遅れている。また、全長を取得できたものについては、これまでに用いてきたアッセイ系では、薬理解析のシグナルが微弱で不安定であったため、受容体の薬理機能についての有用な情報が得られなかった。そこで、高感度且つ安定した系への再調整を行う必要が出てきたことでやや遅れが生じた。 また、M. incognitaの行動解析等によるin vivo評価系の構築は、M. incognita及び宿主植物生育用人工気象器の導入が予定より遅れた。更に、導入後に照明及び日照調節用のタイマーの不具合が起こり、修理の必要が出てきたことなどによって計画に遅れが生じることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
TARに関しては引き続きアッセイ系の改良を進める。R3年度中に薬理機能解析を終え、化合物のスクリーニンを開始する。より高感度に検出できるような改良を加え、感度の問題は改善できると考えている。また、この改良により、他の受容体の機能解析能も大幅に改善すると期待できる。 OARに関しては、全長cdsの取得を完了する。ゲノム配列情報だけで不足する場合は、cDNAライブラリよりクローニングする。薬理機能の同定については、上記のTARに加え、他生物種での情報の蓄積が大きいDARを用いたアッセイ系の構築を先に進めている状況であるので、その情報を活用することで個別に調整する労力は削減できると考えている。 M. incognitaの行動解析等によるin vivo評価系は、人工気象器の修理が完了したので、早急に構築する。予備的な実験は終えており、生物育成環境が整うことで遅れを取り戻すことは可能と考えている。異動先でシステムを再構築するという状況であるため、M. incognitaの調達がやや困難ではあるが、必要量は多くないため対応できると考えている。 以上の問題点を解決してin vitro、in vivoでのスクリーニング系を構築し、多数の化合物を対象にしたリード化合物の同定と活性の評価や作用機構の解明に着手する。
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Causes of Carryover |
人工気象器の導入とセットアップが計画より遅れ、また、導入後の不具合発生による修理の必要等が生じたため、M. incognitaの行動解析とin vivo評価系の構築に関するR2年度の支出機会が無かった。この計画はR3年度に持ち越して実施するので、用途及び支出額自体の変更は無い。 受容体の薬理機能の同定でも計画にやや遅れが生じたので、スクリーニング系の構築に必要な大量の試薬や備品等に関する支出もR3年度に持ち越している状況である。 研究計画の遅れと新型コロナウイルス感染症拡大の影響で学会への参加を取りやめたため、学会参加費、旅費等の支出が無かったが、今後研究成果を発表する際に使用する計画である。
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