2022 Fiscal Year Research-status Report
単独性ハナバチの越夜集団で生じる個体間ヒエラルキーの解明
Project/Area Number |
20K06068
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
横井 智之 筑波大学, 生命環境系, 助教 (80648890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮永 龍一 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 教授 (40335550)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 集合性 / 単独性ハナバチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではミナミスジボソフトハナバチを対象に、集団形成において個体間の優劣関係が構築されるプロセスを明らかにする。さらに越夜集団内での優劣関係が、日中活動における好適な営巣場所の選択や交尾成功とも関連性があるかを明らかにすることを目的としていた。2021年度は調査場所である西表島において、本種メスおよびオス個体を複数確認し、ICタグを利用した個体識別を行い、集団内での個体間規則性を明らかにするための基本情報を収集することができた。調査時にはビデオカメラも併用して、飛来行動についても記録を行なった。例年出現が確認される場所よりも移動した場所で、多くの個体が越夜集団を形成していた。緊急事態宣言の期間延長に伴い、十分な個体数を確保することはできなかったが、2022年度は長期間にわたる野外データの採集を行ない、アオスジフトハナバチを主体とする越夜集団において、個体にICタグを装着し、集団間での移動頻度を明らかにすることが出来た。現在集積したデータを解析した結果、越夜個体は、特定の越夜エリア(越夜場所となる植物群集)に対して、選好性を示していることが明らかになった。タグをつけた個体の利用記録を解析したところ、前日に利用した場所を再度利用する割合は高いことが明らかになった。ただし、各越夜エリアで利用する植物の葉については、全日とは異なる葉を利用することが多く、明確な選好性は示されなかった。これは、フトハナバチ類は越夜に利用する場所はおおむね決めているが、どの基質を利用するかは、日ごとに決定している可能性が高くなった。2023年度は、どの基質を利用するかを決定する要因として、他個体の存在を検証するために、デコイ(標本)を設置し、越夜個体の集合性を検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、当初予定していたICタグを装着した個体による越夜場所での野外データの取得を実施することが出来た。当初はミナミスジボソフトハナバチを対象としていたが、別種であるアオスジフトハナバチの越夜集団が優占していたため、両種ともにタグをつけて越夜場所への集合と離散を記録した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、タグをつけた個体による越夜場所への集合行動を計測すると共に、デコイ(おとり)個体を設置して集団形成行動を確認する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で、研究で予定していた計画が一年ずれることになった。併せて、2022年度に実施する予定だった計画の一部が、2022年5月の現地での豪雨状況で、十分なデータを取ることが出来なかった。そのため、2023年度に野外調査を継続して行ない、十分な調査データの確保を目指す。今回は、ICタグによる個体追跡のデータ補充および、デコイの設置による集団の形成における個体間認識を確認する。
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